※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
金メダルの半田(左)と銅メダルの松本
井上謙二監督(自衛隊)は「合宿ではアメリカのほか、インド、カザフスタン、中国の選手と肌を合わすことができ、いい経験を積むことができました。高地で息の上がる中での練習と試合であり、収穫のある遠征でした」と総括。試合出場以外にも実りある遠征になったことを強調した。
全日本選抜と学生選抜の2チームが参加した大会では、お互いに勝ち抜いて日本選手同士の対戦もあるかな、と思ったそうだが、そうしたケースがなくてちょっぴり残念だったもよう。それでも、「ライバル意識を持ってやっていたと思う」と、刺激し合った遠征だった。
重量級を担当する小平清貴コーチ(警視庁)は、松本篤史が銅メダルを取りながらも、2回戦で勝てる試合を終了間際の逆転で負けたことが残念そう。「オリンピック予選で負けた試合と同じパターン。あと少し耐えて勝ってほしかった」としながら、練習で96kg級に上げた山口剛(ブシロード)とともにロンドン五輪金メダリストのジェイコブ・バーナー(米国)に挑み、相手がいらついて本気になってくるまで追い詰めたことが満足そう。
学生選抜で参加した昨年は銅メダル2個だったこの大会。今年は学生選抜選手のメダル獲得はなかったが、滝山将剛団長(全日本学生連盟会長)は、「去年より内容はよかった」と評価。以前の学生選抜の遠征は、ともすると修学旅行気分の面も見受けられたそうだが、今はそんなムードはまったくないそうで、「オリンピックでいい成績を残したことが学生選手の自覚につながっているみたいだ」と振り返った。
西口茂樹コーチ(拓大職)は「グレコローマンの重量級も勝っている。もう『重量級は勝てない』なんて時代ではない。ただ、力があるのに勝てない選手もいた。ユニバーシアードまでには立て直していきたい。(指導は)楽ですよ。やる気のある選手ばかりですから」と、選手の姿勢を評価した。
■フリースタイル55kg級金メダル・半田守(専大)「去年のチャンピオンでオリンピックにも出場したインド選手がいて(今大会は上位進出ならず)、その中で優勝できたのは自信になります。優勝の要因は、(高地のため)息が切れる中で闘わなければならない中で、動き続けられたことです。高校時代に恩師が自分の生活を犠牲にして指導してくれたことで粘り強さができ、今につながっています。準決勝で2分間でポイントを取り切れなかったあたりが課題です。ビデオも撮ってありますし、至らない点を佐藤先生(満=日本協会強化委員長)から指導を受け、次の大会につなげたい。今年は結果を出さなければならない」
■フリースタイル84kg級銅メダル・松本篤史(ALSOK)「1試合目、2試合目にいい動きができない悪いところが出ましたが、1日6試合をこなせた経験はよかったです。プレッシャーをかけて技を出すことができたのは自信になりました。負けた試合はリードしていて最後に逆転されるいつものパターン。同じ相手と3位決定戦を闘い、反省を生かして勝ちましたが、最初に勝たないと…。FILAルールなら敗者復活戦へ回れないケースでしたから。グレコローマンで大学の同期(尾形翼)と後輩(音泉秀幸)がメダルを取って負けられない気持ちでした。全日本選手権で勝てなかったのに遠征に選んでいただいたわけで、このままでは終われません」