※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
男子フリースタイルと女子の全日本選抜チームが1月22日、成田空港発のアエロフロート航空でロシア・クラスノヤルスクへ向けて出発した。ゴールデン・グランプリ予選大会「ヤリギン国際大会」に出場する。
■「日本の実力は厳選されたロシア選手の中でも勝ち抜ける」…田南部力監督
男子は軽中量級の全日本チャンピオンを中心としたメンバー。田南部力監督(警視庁)は「新しい全日本チーム最初の大会。成果を出すとともに、これからの3年間でやるべきことを見つけ出せる大会にしたい」と話す。今回の遠征は地元チームなどとの合宿はなく、試合出場のみ。「その分集中し、試合の中で課題を見つけてほしい」とリクエストした。
ロシア最高レベルの国際大会と言われる大会。昨年まではロシアの選手の出場制限はなかったが、今回からは厳選されたメンバーでの出場。今まで以上に「弱い選手はいない」という状況となるが、「日本のレベルは(厳選されたロシア選手の中でも)勝ち抜けるレベルにまで来ている」と話し、上位を目指させたいという。
「最初の大会でこけるのと、上位に入賞したり世界ランカーを倒すのとでは、これからが大きく違ってくる」と必勝を期した。
唯一の五輪代表選手の参加となる74kg級の高谷惣亮(ALSOK)は「オリンピックが終わり、気持ちを切り替えています。一方で(五輪選手としての)プライドも持っていて、力になっている。実力を伸ばすためにも、自分の力がどこまで通じるか、いろんなことを試してみたい」と言う。
五輪で感じたことは「いきなりこの舞台で結果を出すのは難しい」ということ。ロシア最高レベルの大会をスタートとして、多くのビッグイベントを経験して4年後に向かいたい。「米満(達弘)先輩も、いろいんな大会に出て、最初は負けて、それから勝っていった。それにあやかりたい。レベルの高い大会といっても、同じ人間。全力を出して闘っていきたい」と気合を入れた。
■五輪女王へ挑めるか、鈴木博恵(クリナップ)
女子は昨年6月の全日本選抜選手権2位の選手を中心とした派遣。全体の底上げを目指し、チャンピオン以外の選手にもチャンスを与える遠征となった。木名瀬重夫監督(日本協会コーチ)は「後から『あれをすればよかった』といった反省をすることなく、思い切った闘いをしてほしい。勝ち負けを過剰に意識することなく、自分の力を100パーセント出すことを心がけてほしい」と望んだ。
実力の100パーセントを出してもらったうえで、その選手の合わせた今後の強化の指針を見つけていきたいそうで、「とにかく攻める試合をやってほしい」と言う。
中部国際空港から成田に到着した至学館大関係の選手
女子の主将に推された72kg級の鈴木博恵(クリナップ)は3年連続の出場。「いつも早いラウンドで負けているので、今回は試合を多くできるように頑張りたい」と言う。
この階級のロンドン五輪金メダリストはロシアのナタリア・ボリビエワで、ロシア協会のホームページによると、五輪後最初の大会として出場してくることが分かった。「2回闘ったことがありますけど、ともにボコボコにやられました。オリンピック・チャンピオンになって、また、あらためて闘ってみたいという気持ちです」。世界一の選手との闘いは実現するか。
大会が行われるクラスノヤルスクは、シベリアの中央にある都市。昼間でも氷点下になることが多く、夜は同30度になることもある厳寒の地。コンディションづくりが大変だが、何度も参加している木名瀬監督は「部屋の中はあたたかいし、さほど心配はありません」とのこと。
これまでは、11時間のフライトでモスクワまで行き、そこから日本の方向に6時間をかけて戻る日程だったが、ハバロフスク経由の最適な時間のフライトができたことで、飛行時間は2フライトで約7時間。22日夜には到着できる日程となった。同監督は「遠征の苦労が少なくなった分、試合に集中してほしい」と話した。
遠征メンバーは下記の通り。
【男子フリースタイル監督】田南部力(警視庁)
【女子監督】木名瀬重夫(日本協会コーチ)
【女子コーチ】吉田栄勝(日本協会コーチ)
【トレーナー】川﨑淳(ハンズコーポレーション)
【審 判】本田原明(自衛隊)
【男子フリースタイル】
▼55kg級 森下史崇(日体大)
▼60kg級 前田翔吾(至学館大教)
高塚紀行(自衛隊)
▼66kg級 石田智嗣(警視庁)
▼74kg級 高谷惣亮(ALSOK)
【女子】
▼48kg級 矢後佑華(日大)
▼51kg級 志土地希果(至学館大)
▼55kg級 坂上嘉津季(至学館大)
▼59kg級 伊藤彩香(至学館大)
▼63kg級 渡利璃穏(至学館大)
▼67kg級 井上佳子(クリナップ)
▼72kg級 鈴木博恵(クリナップ)