※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=増渕由気子・三次敏之・渋谷淳、撮影=矢吹建夫 / 12月23日、東京・代々木競技場第2体育館)
■男子グレコローマン66㎏級・清水博之(自衛隊=決勝で全日本選抜選手権、国体などで優勝し勢いに乗っている音泉秀幸を下す)「(音泉に)ここで負けると、勢いでこの先もやられてしまうので、止めることができてうれしい。(試合後にバック宙を決めて)バック宙ができるようになったのでみんなに見てもらいたかった(笑)。
6月の全日本選抜選手権は74㎏級で出場したけど、オリンピックを見て、66㎏級じゃないと世界で闘えないと思った。体のでかさが違う。(義姉の小原日登美がロンドンで金メダルを取り)日登美さんの活躍が今回の優勝の原動力になったと思う。4年後は自分がメダルを獲るつもりでいます」(右写真)
■男子グレコローマン74kg級・井上智裕(兵庫・育英高教=66kg級時代はロンドン五輪を本気で狙っていたが、かなわず。今回、初の日本一)「無欲で、減量なしで臨んだ。自分でも、まさか優勝できるとは思っていなかった。今回は入賞できればいいかなと思っていたほどだった。
ふだんは高校でフリースタイルを教えていますが、グレコローマンにも使える技もあるので(指導が勝負に役に立った)。今は来年の世界選手権出場のことは全然考えていないけれど、今後ゆっくり考えていきたい」(左写真=赤が井上。飛び跳ねてのバック投げ)
■男子フリースタイル66kg級・石田智嗣(警視庁=階級を66kg級に戻して日本一奪取)「やってきたことが全部出せたのでよかった。4月の(五輪代表決定)プレーオフでは悔しい思いをした。この優勝につながったのであれば、いい過去だった。コーチ陣が66kg級で通用するために一緒に体作りをしてくれた。期待に応えられたと思う。
少しずつですけど、体も引き締まって、今になって練習はうそをつかないということを実感している毎日です。(五輪金メダルの)米満さんは目標の選手。それを超えてこそ、私のレスリング人生に価値があるのだと思います。来年の目標は世界選手権に出て金メダルを獲ることです」
■男子フリースタイル74㎏級・高谷惣亮(ALSOK=ロンドン五輪代表。貫録の連覇で天皇杯を受賞)「優勝して当たり前と言われる状況なので、試合内容には納得していない。言い訳になるけど、準決勝で腰を痛めて、決勝では攻めるのに苦労した。天皇杯は、拓大出身者では米満達也先輩がもらっているけど、網野高出身者では初めてなのでうれしい。
オリンピックでは(1回戦敗退で)何もできなかったけど、リオデジャネイロを目指してすぐに練習を始めた。自分の身体能力は高いと思っているので、海外の選手の技を吸収しながらレベルを上げていきたい。世界選手権に出たことがないので、世界選手権でメダルを獲ることが目標です」
■女子51kg級・菅原ひかり(至学館大=2010・11年の2年連続2位を経て初優勝)「ずっと勝ちたかった大会で、ようやく勝つことができました。2年連続決勝まで勝ち上がれたのに、2年連続2位でしたから、勝つしかないという気持ちで決勝に臨みました。
第3ピリオドは、そういう勝ちたいという気持ちがボールピックアップ(赤の宮原が引き、菅原の青が出た)も味方してくれたのではないかと思っています。来年の目標は世界選手権で優勝することです」(右写真)
■女子55kg級・村田夏南子(日大=逆転勝ちの連続で初優勝)「次のオリンピックのスタートとなる大会で優勝できたことはうれしいのですが、課題の残る試合ばっかりで、反省して、次に向けて頑張らなければ、次は勝てないと思いました。
(決勝の第3ピリオド、残り5秒まで負けていた時は)焦らないようにしていたけど、自分が攻めようと気持ちで前に出ていました。(準決勝も第3ピリオドで0-5と負けていたところから逆転フォール勝ちしたが)死んだおじいちゃんが降りてきたと思った。(セコンドが出したチャレンジを拒否したのは)もし失敗したら0-6で試合が終わってしまうので、(スポンジを)返しました。
けがから復帰してこの試合に出られたことだけでも、今年を振り返るとうれしいです。まだ自分にはもろさがある。今のままじゃ世界選手権に出られないと思うので、あと6か月気持ちを入れなおして練習したい」(左写真)
■女子67㎏級・土性沙羅(愛知・至学館高=決勝で飯島千晶との熱戦を制して初優勝)「今年の全日本選抜選手権で(世界選手権3位になった井上佳子と大接戦を繰り広げた末に)負けていたので、めっちゃうれしいです。決勝は自分のタックルができなかったけど、がぶりからバックを取れたのがよかった。
今年は全日本選抜選手権で負けて、海外遠征でも負けていたので、今日は絶対に優勝するという強い気持ちだった。これからは海外の試合に出ても、優勝して帰ってきたい。(今回は対戦のなかった井上とは)負けているので、もう一度やりたい」(右写真)