※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=増渕由気子・渋谷淳・樋口郁夫、撮影=矢吹建夫 / 12月22日、東京・代々木競技場第2体育館)
■男子グレコローマン84㎏級・鶴巻宰(自衛隊=昨年の74kg級王者。決勝の第3ピリオド終了間際、岡太一のリフトに投げられて苦杯)「しょうがないですね。最後はうまく前に出てずらせなかった。(84㎏級にクラスを上げてから国内外3大会連続優勝の勢いを生かせず)詰めの甘さですね。まだ84㎏級でやれるという自信はありません。パワー不足だし、ずらし方のところも含めて全然です。(次の五輪へ向けての気持ち?)それもこれからですね」
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■男子グレコローマン84kg級・天野雅之(中大職=昨年の全日本選手権と今年の全日本選抜選手権を制するも、今回は準決勝で鶴巻宰に敗退)「かけられた技は狙ってくるだろうなと思った技だったので、その研究が足りなかった。10月の国体でも鶴巻選手と対戦し、グラウンド技で返せなかったが、今大会は持ち上げられるところまでいった。少しずつレベルアップはしているのかなと思う。
今大会もいろいろ準備が完璧とは言えなかったが、(通常の)仕事をしている環境とは関係なく、上を見ながら頑張りたい。2012年は五輪予選にも出て、自分で考えたことがないくらいの経験をさせてもらった。周りの多く方も『次の五輪を目指すように』との応援をいただいた。すごく幸せな1年でしたので、また期待に応えられるように頑張りたい」(右写真=赤が天野)
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■男子グレコローマン120㎏級・金沢勝利(山梨学院大=全日本学生選手権両スタイル王者。準々決勝で優勝した前川勝利に敗退)「(第1ピリオドで惜しくも投げが決まらず)スタンドは不利だと思っていたけれど、グラウンドは自分が返さなくちゃいけない。(第2ピリオドで場外に押し出され)警戒して低く構えすぎて、がぶられてしまった。
来年からは自衛隊にお世話になって、グレコローマンを中心にやっていくと思うので、グレコローマンに出た。自分はスタンドがまだまだなので練習して、グラウンドでは絶対に投げられるように力をつけたい」
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■男子グレコローマン120kg級・園田新(滋賀・日野高=2回戦で元全日本王者の中村淳志に敗退)「全日本選手権は2度目。第1シードの中村選手とは力の差を感じました。体力技術も全然上回っていて、スタンドで動かされてしまい、自分のレスリングができなかった。でも、試合はすごく楽しかったです。来春に拓大に進学するのですが、西口茂樹部長の言うことを聞いて、ひたすらレスリングをやりたいです。
高校生活を振り返ると、2年生のときは負けなしで、3年のときは膝の内側側副(ないそくそくふく)じん帯をけがして、インターハイのタイトルを逃してしまった。でも、そこから死ぬほど練習して全国高校グレコローマン選手権と国体で優勝できてよかった。3年間やってこれたのは、北岡秀王コーチのおかげです」
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■男子フリースタイル55㎏級・稲葉泰弘(警視庁=優勝候補の筆頭ながら準決勝で半田守にストレート負け)「(試合の10日前に首をけがしていたことを問われて)けがも実力のうち。悔しいですけど、これが今の自分の力だと思う。けがは自分の不注意というか、自分が悪くてけがしたわけですから……。(棄権は)考えませんでした。徐々に良くなっていたし、コンディションもよかったから。けれど、試合ではダメだった。けがを治して全日本選抜選手権に向けていきたい」
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■男子フリースタイル55kg級・高橋侑希(山梨学院大=初戦で優勝した森下史崇に敗退)「今回はワンチャンスを狙われて勝利を持って行かれてしまった。試合前にあがってしまうくせがあって、緊張してしまいました。そこを直さないとならない。さらに、森下選手とは初戦で対戦ということで緊張してしまった。
今シーズン、森下選手とは6度目の対戦で、対戦しすぎるほど。常に対戦しているので、手の内が相手に分かっている。自分も成長しないといけない。今年の学生の試合は森下選手だけに負けた1年だった。来年は負けないように、もっと頑張っていきたい。大学のルーキーイヤーを振り帰ると、最後負けてしまったのでダメでしたね」(左写真=青が高橋)
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■男子フリースタイル55kg級・山崎達哉(日体大=2回戦で大学の先輩の森下史崇に敗退)「初めての全日本選手権はすごくいい経験になった。レスリングを辞めたかった去年の今頃を考えると、全日本選手権に出られて、プロでやっている自衛隊の選手と1回戦からできて、貴重な体験だった。森下先輩に負けたけど、差をこれから少しでも埋められるように頑張りたい。全日本選手権に出ることもずっと目標のひとつだったので、レスリングに復帰して良かったです。来年はインカレのタイトルを狙っていきたいです」
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■男子フリースタイル60kg級・伊藤和真(京都・網野高=高校三冠王者。2回戦で高塚紀行に敗退)「全日本トップの選手とは力の差があるなと思った。前に詰められて、浮き上がったところを攻められた。そういうところを直さないと勝てないと思いました。
今日は、63kg級に出ている姉(友莉香)と一緒に入賞することが目標だったので、ベスト8の結果は満足していないのですが、全日本選手権の舞台で1回勝ったことは収穫です。2年後には優勝したいと思います。高校生活を振り返って、高校3冠王になれたことはよかったと思っています」(右写真=青が伊藤)
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■男子フリースタイル60㎏級・鴨居正和(山梨学院大=全日本大学選手権王者。1回戦で優勝した前田翔吾に敗れる)「全然実力が違いました。(1ポイントを挙げた)第1ピリオドは、競った感じになりましたけど、第2ピリオドは組み手で負けて、場外に出されて、体力を削られて何もできませんでした。(通用したところは?)この試合では何も……。山梨に帰ってトレーニング、走り込みを含めて追い込みたいと思います」
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■男子フリースタイル60㎏級・池田智(日大=全日本選抜選手権覇者。準決勝で大学の先輩でもある高塚紀行に試合終了間際にポイントを許して涙)「ラスト12秒まで勝っていたのにポイントを許した。実力が出たと思う。競っている試合は1点差ででも逃げ切ることが大事。ポイントを取れたところはよかったけど、守ることができなかった。(夏に右ひざを手術し、計3週間入院。2か月のブランクを作るが)けがの影響はなかった。全日本選抜選手権で借りを返せるように練習に励みたい」
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■男子フリースタイル60kg級・有元伸悟(近大=西日本学生選手権の1年生王者。1回戦で昨年の学生王者を破るも、3回戦で前田翔吾に1-2で敗れる)「すごく上の位の選手なので、ぶつかる気持ちでした。第1ピリオドを取れたのは、左構えで差してくる選手だと研究し、その対応ができたからです。
でも、第2ピリオドからはしっかり対応されました。試合前に相手を研究することも大事ですが、前田さんのように、闘っている中で相手に対応して闘える実力がなければならないと思いました。ずっとプレッシャーをかけられて押し負けていたので、そうした基本的なことを見直したい。でも、前田さんから1ピリオドを取れたのは自信になります。(初戦で昨年の学生王者を破ったことは)運がよかった面があってのことですね」(左写真=青が有元)
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■女子48kg級 入江ゆき(九州共立大=決勝で相性のよかった登坂絵莉に初黒星を喫する)「必ず相手がやってくる技は分かっていたけど、合わせてしまった。相手の方が、勝ちたいという気持ちが大きかったのかなと思います。技とかも、自分はまだできていないところもあった。優勝しなくてはいけないというプレッシャーは少しありました。挑戦する気持ちで頑張りたいです」
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■女子63㎏級・西牧未央(早大大学院=病でブランクを作った元世界チャンピオン。久々の大舞台で準々決勝敗退)「2010年の初めから体調が悪くなって練習についていけなくなった。バセドウ病でした。筋力が低下したり、頻脈(ひんみゃく=心拍数が増加している状態)になったりする病気です。
今回は、自分が弱くなっていることが分かった大会。(また世界へ?)まだ、そんなことを言える状況ではないので、一段一段、階段を上っていきたいと思います」(右写真=赤が西牧)