【全日本選手権第１日】注目選手・談話

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

（文＝池田安佑美・三次敏之・樋口郁夫、撮影＝矢吹建夫 ／ 12月21日、東京・代々木競技場第２体育館）

　■男子グレコローマン55kg級・文田健一郎（高校２年生ながら３位に入賞。最後の試合で上唇を裂傷）「全日本選抜チャンピオンの尾形（翼）さんと試合ができ、勉強になりました。パワーが違った。筋力トレーニングをしっかりしたい。

　唇をけがしたのは自分の甘さです。自分が下から攻めていれば、こんなことはなかった。（初戦で去年の学生チャンピオンを破ったことは）うれしかったです。今回は３位で満足。でも、来年はもっと上です」（右写真）

　■男子グレコローマン55kg級・中野智章（日体大＝昨年の学生王者。高校王者相手の初戦、第３ピリオド最後のチャレンジで判定が変わり黒星）「最後、守り切ったつもりだったが…。それより、第２ピリオドに投げられたことが痛かった、結果がすべて。これが実力です。

　年下の選手には負けたくなかったけど、それが（重圧となって）動きに影響することはなかった。昨年、（学生王者になったあと）右手首を骨折してしまったのですが、今回その影響はなかったので、勝ちたかった。卒業後は就職するので、引退試合でした。悔やまれます」

　■男子グレコローマン60kg級・城戸義貴（自衛隊＝準決勝で倉本に黒星）「同じ所属で手の内を知り尽くしている。詰めが甘かった自分が負けた。周りには『差がない』と言われている。こんなので負けていられない。『次がある』とばかりは言いたくないけど。

　（国体で２連覇も）今年の国体は倉本が出てなかったので、勝たなければならない大会だった。松本隆太郎、倉本の２人が出てない試合で勝っても、もう満足できない。上を狙って勝てるようにしたい。まだ自分に甘いところがあるので、それを直していきたい」

　■男子グレコローマン60kg級・松澤力也（日体大＝８月の全日本学生選手権の王者。初戦で倉本一真＝優勝＝に黒星）「初めての全日本選手権で、チャンスがあれば上位進出を狙っていたが、初戦で倉本選手と対戦し、何もできなかった。思った通りに強かった。学生の大会では緊張しないのに、今大会は緊張と不安がありました。

　学生チャンピオンになったけど、その後の国体から結果が出ず、ユニバーシアードのプレーオフも負けて、モチベーションが下がっていた。いい意味で吹っ切れた。次に出場した時は、全日本との実力の差が縮まったということを実感したい」

　■男子フリースタイル84kg級・永田裕城（自衛隊＝全日本選抜選手権と国体で３位、全日本社会人選手権優勝も、今回は初戦敗退）「職業プロになって２年目、そろそろ上位に進出したかったが、（高校時代のライバルだった）山名と対戦して思い切り行けず、慎重に行きすぎた。

　今回は優勝を狙っていたけど甘かった。第３ピリオドが始まって相手が守っているなと思ったので、少し油断してしまった。来年の全日本選抜選手権に向けて１から体を作って、優勝したいと思います」

　■男子フリースタイル84kg級・柴田寛（周南市役所＝18年連続19度目の出場。２回戦で昨年の王者・松本篤史に黒星）「相手はトップ選手なので勝ちはないと思いましたが、自分のレスリングがどれだけ通用するかいう気持ちで挑みました。ポイントも取れたし、今までの経験をぶつけられたと思います。

　（出場回数が）ここまできたら、切りのいい20度出場を目指します。（仕事のため）マットに上がれるのは月に１回、２回といった状態ですが、まだ１回戦で勝てたし、練習している大学選手とも互角に闘える。練習できる状況を増やし、来年の１勝を目指して頑張ります」（右写真）

　■男子フリースタイル84kg級・赤熊猶弥（拓大＝学生王者。２回戦で優勝することになる松本真也に０－２）「（松本は）取ってくるところは、しっかり取ってくる。学生とはレベルが違います。組み手とのうまさがあり、パワーもある。自分が上に行くには、もっとパワーをつけなければならない。今年は全日本大学選手権で負けたけど、ユニバーシアードの代表権を取り、まずは順調に力を伸ばしたと思う。来年もこの勢いを持ち込みたい」

　■男子フリースタイル96kg級・山本康稀（日大＝３回戦で佐々木健吾に敗れ、全日本選抜選手権に続く優勝ならず）「足を取ることばっかり集中して、崩しが全然でなかった。ずっと下ばかり狙ってしまって、すかされたりしてしまった。突っ込んだときに足を取られたら耐えられないので、そこを狙われた。

　（全日本大学選手権で対戦した時は）攻めてきたのに、今回は全然攻めてこなかったので、自分が入らされた感じになってしまった。今年１年振り返ると、最後の最後に負けたのでゼロです。気持ちを切り替えて（また来年から）やり直します」