※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=樋口郁夫)
東日本学生秋季新人戦のグレコローマン74kg級は、春季2位の阪部創(神奈川大1年=右写真)が決勝で同3位の殿村和城(国士舘大)を破って優勝。神奈川大の選手として2年ぶり4人目のチャンピオンに輝いた。
「うれしいです。一生懸命に頑張った成果が出て優勝することができました」と言葉少なに喜びを表した阪部。神奈川大は東日本学生リーグ戦で予選ブロック6位のチームだが、「頑張れば優勝できると思って頑張りました」と“初優勝”を振り返った。
3回戦で闘った1年上の瀧澤廉太郎(中大=新潟・北越高卒)は一昨年の全国高校生グレコローマン74kg級の優勝選手。準決勝で闘った同期の永井凌太(拓大=香川・香川中央高卒)は昨年の同選手権74kg級の王者。
阪部の高校時代(和歌山・紀北工高時代)はと言えば、2010年のJOC杯カデットで3位に入ったのが最高。昨年のインターハイは2回戦敗退。永井が優勝した全国高校生グレコローマン選手権では初戦で敗れ、敗者復活戦も勝ち抜けなかった。国体はベスト8。
■全日本選抜王者の峯村亮コーチの指導で実力アップ
そんな選手が高校王者経験者を連破して優勝したのだから、進学後の成長はすごいことになる。吉本収監督は「峯村(亮)コーチの指導がよかったです」と、55kg級で全日本トップレベルの実力を持ち今春には60kg級で全日本選抜王者に輝いた同コーチの技術伝承があればこそと分析。阪部も峯村コーチからの技術指導を優勝の要因に挙げ、「だれにも負けない練習をしてきました」と振り返った。
決勝で闘う阪部(赤)
高校時代の成績に満足できなかった阪部が選んだのは神奈川大だった。グレコローマンを中心にやりたい気持ちが強く、峯村亮コーチがいるからだ。「東京へのあこがれはありますけど…」と笑いながらも、選択が正しかったことを証明した。
もちろん新人選手権優勝で満足はしていない。すぐに全日本選手権がある。「まだ弱いですから」と具体的な目標までは口にしなかったが、「1勝でも挙げたい」と気合を入れる。60kg級でリオデジャネイロ五輪を目指すことを決めた峯村コーチとともに、全日本の舞台に“神奈川大旋風”を巻き起こす日がやってくるか。