2012.11.26

【全国中学選抜選手権・特集】どん欲な気持ちで階級アップに成功!…男子53kg級・吉村拓海(埼玉・埼玉栄)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文=増渕由気子、撮影=保高幸子)

 全国中学選抜選手権の男子53kg級は、全国中学生選手権(全中)47kg級優勝の吉村拓海(埼玉・埼玉栄)が、決勝で永田丈治(青森・八戸ジュニア)を2-0で下して初優勝。73名がエントリーした今大会最大の“激戦区”を制すとともに中学二冠を達成し、最優秀選手にも選ばれた。(右写真)

 最優秀選手賞のコールは所属の「埼玉栄の~」と始まった。吉村は「(74kg級で優勝し、同じく中学二冠を達成した)山崎弥十朗のことかと思った」が、自分の名が呼ばれてびっくりした様子。うれしそうにカップを手に写真撮影に収まった。

■挑戦を目的に1階級アップ

 今大会の階級アップは、入念に計画したうえでの決断だった。「体の成長もあるけど、一番は、47kg級でチャンピオンになったし新しい階級でやってみたかったから。(6月の)全中が終わってすぐに体作りをはじめました」と、5ヶ月計画で準備してきた。

 男子47kg級も67名がエントリーした激戦階級だが、それよりも多い階級に挑戦するとなると、1日の試合数が増える場合もある。記録や結果にこだわって階級を調整する選手もいる中で、吉村は「試合は大好きだから」と、53kg級への階級アップに何の障害も感じなかった。

決勝で闘う吉村

 内容、結果ともに満足した内容だった。全中後の抱負に「3点タックルを決められるようにすること」を掲げていたが、「今日、3点タックルも決めることができたし満足」と吉村。

 決勝の永田戦では、第1ピリオドは終盤まで0-0だったが、残り5秒で飛び込んだタックルが決まり、1-0でものにすると、第2ピリオドは相手の力を利用したカウンター攻撃も決まった。「返しだけで終わりたくない」と、終盤にはダメ押しのアンクルホールドもさく裂。「ローリングは何度も防御されていたので、とっさにアンクルに切り替えた」と試合展開も満点だった。

■成國大志の6冠獲得を阻止した梅林に感謝

 男子のMVPは、59kg級に出場した成国大志(東京・ゴールドキッズ)に中学6冠王がかかっていて優勝すれば受賞が有力視されていた。成国は決勝で梅林太朗(JOCアカデミー)に敗れて2位に終わり、受賞の対象外へ。「MVPは梅林選手のおかげです」と、感謝の気持ちも忘れなかった。

 埼玉栄高に進学してもレスリングは続ける。最近は高校1年生でインターハイなど全国大会で活躍する選手が増えている。「僕もいい試合をして、1年生チャンピオンになりたいです」と目を輝かせていた。