※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
日本でも大きく報じられたブラトニックのがんとの闘いを経ての五輪金メダル獲得
ブラトニック氏は1980年モスクワ五輪出場を米国の不参加で逃したあと、自国での五輪出場に燃えていた。1982年、がんの一種であり、悪質の場合は短期間で死亡するボジキン病(悪性リンパ肉芽腫)であることが判明。すい臓の切除手術と放射線治療を行い、強い意志のもとで病気と闘った。
1年後に体は回復。医師はレスリングを断念するよう忠告したが、「レスリングこそわが人生」と練習を再開し、ロサンゼルス五輪の代表へ。決勝でトーマス・ヨハンソン(スウェーデン)を破って金メダルを獲得すると、大粒の涙を流し、マットにひざまずいて神に感謝。
「私は失意のどん底から立ち直った。病気には絶対に負けては駄目だ。病人になりきってしまっては終わりだ。私は目標を失わなかった」と話し、米国スポーツ界のヒーローとして称賛された。日本の新聞でも大きく取り上げられた。
引退後はスポーツコメンテーターなどで活躍し、大相撲や総合格闘技UFC日本大会のレポートで来日したこともあった。