2012.10.16

10・18~19全日本大学グレコローマン選手権 展望

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

今季4大会連続優勝を目指す66kg級の音泉秀幸

 全日本大学グレコローマン選手権は10月18日(木)~19日(金)に東京・駒沢大学で21大学が参加して行われる。

 昨年は日体大が4階級で勝ち、大学対抗得点で2位の拓大に24点差をつけて4年ぶり14度目の優勝を遂げた。今年の日体大も第1日に実施される軽量4階級(55・60・66・74kg級)で優勝の可能性が十分。ここで4階級を取れば、初日にして2年連続15度目の優勝の可能性が高まる。

 ただ、60kg級と74kg級は拓大勢にさらわれる可能性もある。最終日、拓大は84kg級と120kg級で優勝、または上位入賞が期待されるのに対し、日体大は重量3階級では厳しい闘いをしいられそうなので、優勝争いは混とんとしてくる。

 各階級の見どころをさぐった。(試合開始は、両日とも午前10時半=第1日は10時から開会式)

(文=樋口郁夫) 


 【55kg級】

 全日本学生選手権ではベスト4を日体大が占めた階級。同選手権優勝の田野倉翔太(日体大=右写真が二冠制覇とこの大会2連覇を目指す。同2位で昨年学生王者の中野智章もエントリーしている。どちらが出てきても優勝候補となろう。

 昨年の全日本学生選手権3位で世界ジュニア選手権出場の経験もある田口光成(法大)がどこまで食い込めるか。昨年の東日本学生秋季新人選手権3位の大町雄大(国士舘大)、今年の東日本学生春季新人戦優勝の田中勇気(青山学院大)ら若手の台頭があるか。

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 【60kg級】

 JOC杯ジュニアオリンピック、東日本学生春季新人選手権、全日本学生選手権と3大会連続で優勝している松澤力也(日体大=右写真が好調を維持できるか。全日本学生選手権決勝で惜敗した佐々木晋(拓大)のリベンジなるか。

 2人を追う一番手は、今年の世界学生選手権出場のチャンスを得た青木成樹(青山学院大)。ほかに全日本学生選手権3位の雨宮隆二(山梨学院大)、全日本選抜選手権で3位に食い込んだ池田圭介(早大)らが上位を狙う力があるはず。

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 【66kg級】

 全日本選抜選手権を制し、全日本学生選手権と国体も制した音泉秀幸(日体大=右写真が優勝候補の筆頭。全日本学生選手権決勝で、1年生ながら音泉に0-2(0-1,0-1)と粘った魚住彰吾(専大)がどこまで粘れるか。

 JOC杯ジュニアオリンピックで魚住を破って優勝した金光輝明(東洋大)にも期待がもてたが、負傷のためエントリーしていない。拓大からは、フリースタイル中心の選手だが地力のある岩渕尚紀と1年生ながら東日本学生春季新人戦優勝の湯田敬太のどちらが出てくるか。ともに上位に食い込む力はあるはず。

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 【74kg級】

 昨年学生二冠王の中村隆春(日体大)が2連覇を目指す。今年はJOC杯ジュニアオリンピックで順当に勝ったものの、全日本学生選手権で優勝を逃し、続く世界ジュニア選手権、世界学生選手権でも結果を出せなかった。悪い流れを断ち切りたい。

 全日本学生選手権で中村を破った小森大祐(拓大=右写真が再度栄冠を手にできるか。岐阜国体では昨年の世界選手権代表の金久保武大に善戦するほど実力をつけている。

 フリースタイル中心の選手だが、北村公平(早大)もエントリーしている。全日本学生選手権は84kg級で3位に入った実力を持つので、両者の闘いに割って入る可能性は十分にある。

 全日本選抜選手権3位の椿和浩(九州共立大)、全日本学生選手権3位の池澤峻介(専大)らがどこまで上位に食い込めるか。

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 【84kg級】

 全日本学生選手権の準決勝以上を争った横沢徹(拓大=優勝,右写真)、鈴木友希(山梨学院大=2位)、菊池崚(青山学院大=3位)の争いとなるか(もう1人の3位の北村公平は74kg級へ)。

 JOC杯ジュニアオリンピック優勝の加賀谷庸一朗(国士舘大)も上位を狙う実力を持つ。全日本選抜選手権3位の山口高幸(徳山大)は同選手権で横沢を破った選手。西日本の意地を見せられるか。

 日体大からは全日本学生選手権ベスト8の2人がエントリー。東日本学生春季新人戦優勝の桜庭正義(1年)と同2位の笹川久志(2年)で、下級生とはいえ、団体優勝のためにも上位入賞を逃すわけにはいくまい。

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 【96kg級】

 全日本選抜選手権で優勝し、全日本学生選手権2連覇中の大坂昂(早大=右写真が一歩リードの状態か。同2位の米平安寛(日体大)、同3位の赤嶺希(青山学院大)らがどう挑むか。

 JOC杯ジュニアオリンピック優勝の田中哲矢(大東文化大)、同2位の志喜屋正明(国士舘大)らの台頭も期待される。

 

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 【120kg級】

 全日本学生選手権両スタイル制覇の金沢勝利(山梨学院大=右写真が2連覇を目指す。昨年、2年生で全日本学生選手権を制した村木孝太郎(拓大)が阻止できるか。今春は体調を崩して戦列を離れたが、金澤と互角近くの地力を持っている。

 早大からは負傷で戦列を離れていた前川勝利がエントリーしている。昨年の全日本選抜選手権王者であり、万全なら優勝争いに加わる力は十分。