2012.09.30

登坂絵莉(至学館大)、不可解判定で銀メダル…世界選手権最終日

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 【ストラスコナカウンティー(カナダ)】世界選手権最終日は9月29日、ストラスコナカウンティー(カナダ)で2階級が行われ、48kg級の登坂絵莉(至学館大)が決勝に進みながら、納得のできない判定で無念の銀メダル(右写真)。63kg級の工藤佳代子(自衛隊)は3位決定戦で敗れ、メダルを逃した。

 登坂は1回戦を勝ったあと、2回戦で今年の欧州選手権3位のジャクエリン・シェリン(ドイツ)、準決勝で昨年51kg級3位のパティマト・バゴメドバ(アゼルバイジャン)を2-0で下して決勝進出を果たした。

 決勝はロンドン五輪8位のベネッサ・カラジンスカヤ(ベラルーシ)と対戦。第3ピリオド、2-2のビッグポイントでリードしながら、終盤の相手の攻撃で1点を失う不覚。このシーンをめぐって納得のいかないビデオチェックがあり、日本陣営は抗議したが、判定は覆らなかった。

 工藤は初戦の2回戦で昨年3位のナザンブルマー・オチルバド(モンゴル)を2-1で破ったものの、3回戦で2010年2位・ロンドン五輪代表のエレナ・ピロズコバ(米国)に0-2で敗れた。敗者復活戦に勝って3位決定戦に進んだものの、昨年67kg級チャンピオンの西洛卓瑪(中国)に1-2で敗れ、5位に終わった。

 全日程を終了し、日本は「金1・銀1・銅1」。優勝1選手は、2002年に7階級になってから初めてだが、国別対抗得点は中国に続いて2位となった。3位は米国。

 各選手の成績は下記の通り。


 【48kg級】登坂絵莉(至学館大)     2位=16選手出場   

1回戦 ○[2-0(2-0,1-0)]Lenka Matejova(スロバキア) 

 《試合経過》第1ピリオド、登坂は開始10秒にタックルを決めて1点を先制。1分20秒にも1点を取った。第2ピリオドも40秒にタックルで1点を取り、そのままのスコアで振り切った。

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2回戦 ○[フォール、2P0:50(1L-1,F4-0)]Jaqueline Saskia Schellin(ドイツ)

 《試合経過》第1ピリオド、一進一退の攻防のあと、1分30秒に登坂が回り込まれて1失点。しかし1分50秒、タックルを決めて追いつき、1-1のラストポイントでこのピリオドで先制。第2ピリオドの30秒すぎ、外無双を決めて押さえこみ、フォールを奪った。

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準決勝 ○[2-0(1-0,2-1)]Patimat Bagomedova(アゼルバイジャン)

 《試合経過》登坂は第1ピリオドの30秒すぎにタックルを決めて1-0。第2ピリオドの中盤、タックルで1点を取り、1分25秒にも1点を加えた。終了間際にバックに回り込まれたが、無理せずに1点をやり、2-1で勝利。

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決 勝 ●[1-2(1-0,0-1,2-3)]Vanesa Kaladzinskaya(ベラルーシ)

 《試合経過》第1ピリオド、0-0のあとの1分48秒、登坂が外無双で1点を取ってこのピリオドを先制。第2ピリオド、登坂は15秒に回り込まれ0-1。後半に惜しいところまで攻めたがポイントにならず、そのままのスコアで終了。

ビデオチェックに関し、ジュリーに確認を求める日本陣営

 第3ピリオド、前半に登坂が相手を崩して2点を取ったが、相手も1点で2-1。1分21秒にバックを取られて2-2。このままならビッグポイントで登坂の勝利。ラスト10秒を切ったあと、相手がバックを狙って猛攻。登坂が場外際で投げた時に試合終了。判定は相手の1点。

 日本陣営はチャレンジ。ビデオチェックの結果、チェアマンは、いったんは白板(両者0点)を上げ、登坂の勝利かと思われた。ここで、ベラルーシ側がチャレンジのスポンジを投入。もう一度ビデオがチェックされ、登坂が相手を振り切っている最中に一瞬だが両ひざと左腕がついているようなシーンが映し出され、このシーンによって相手に1点が入った。

 (注)全試合終了後、日本陣営はジュリーのマリオ・サレトニグ氏に、なぜ2度もビデオを見たのかを確認。「ベラルーシは過去にさかのぼったアクションに対してチャレンジしたが、それはできないはずだ」と詰め寄りました。サレトニグ氏は「最初にベラルーシがスポンジを投げた」と事実に反する答弁に終始。ビデオチェックはベラルーシのチャレンジによるものだと譲りませんでした(そうなると矛盾する点も出てきます)。


 【63kg級】工藤佳代子(自衛隊)    5位=19選手出場

1回戦  BYE

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2回戦 ○[2-1(1-0,1-4,4-2)]Nasanburmaa Ochirbat(モンゴル)

 《試合経過》第1ピリオド、0-0のあと工藤がラスト20秒に正面タックルを決めて1-0。第2ピリオド、40秒に体勢を崩されて2点をを取られた工藤は、アンクルホールドを受けて0-4。1分20秒に1点を返したが、追いつかなかった。

 第2ピリオド、工藤が前半に正面タックルを2度決めて2-0。場外へ押し出されて2-1。終盤に1点を取り合って4-2とした。

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3回戦 ●[0-2(0-2,0-4)]Elena Pirozhkova(米国)

 《試合経過》第1ピリオドの中盤、工藤はタックルを受けてしまい、アンクルホールドで回されて0-2。第2ピリオド、工藤が正面タックルへいったところを首投げで返され3+1点。0-4で敗れた。

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敗復戦 ○[2-0(1-0、TF6-02:00)]Hou Min-wen(台湾)

 《試合経過》第1ピリオドの1分45秒、工藤が相手の右脚へのタックルを決めて1点を取り、このピリオドを先制。第2ピリオドは相手のタックルを2度つぶし、2度目はアンクルホールドへ。そのままニアフォールの体勢へ追い込み、6-0として終了のホイッスルを待った。

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3決戦 ●[1-2(2-4,1-0,0-3)]Xi, Luozhuoma(中国)

 《試合経過》第1ピリオドの後半、工藤がタックルと投げの打ち合いに勝って2-0。場外に出されて2-1。終了間際の相手の反撃を受けてしまい。場外へ転がされしまって3点を失って2-4。第2ピリオドは40秒にタックルを決めて1-0。第3ピリオド、38秒に脇を差されて外へ出されて1失点。このあと、2度タックルを仕掛けたが、いずれもつぶされてポイントを失い、0-3とされた。 


 【国別対抗得点】

 《順位》[1]中国 54点、[2]日本 43点、[3]米国40点、[4]カナダ35点、[5]カザフスタン 31点、[6]ベラルーシ 28点、[7]インド 28点、[8]アゼルバイジャン 22点