2012.09.30

【世界女子選手権第2日・特集】残る“カレリン超え”は?…55kg級・吉田沙保里

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 【ストラスコナカウンティー(カナダ)】世界13連覇達成後、「死ぬまで破られない記録をつくりたい」と話した吉田沙保里。栄和人監督は「13連覇だって、もう破られないんじゃないの?」とひと言。確かに「ゲーム性が高い」と言われる現在のルール下では、何年も連続で勝ち続けることは至難の業と言われ、男子では4連覇が最高。

 ロンドン五輪で前年の世界選手権に続いて優勝した選手は男子で4選手いて、3年連続世界一は小原日登美と伊調馨が達成している。しかし、現在2連覇、3連覇の選手が連覇を「13」にまで伸ばす可能性はかなり低いだろう。

 とはいえ、カレリンの12連覇も「2度と出ない記録」と言われた。30年、50年のうちには、13連覇を破る天才レスラーも現れる可能性もある。2016年リオデジャネイロ五輪まで勝ち続け、世界17連覇を樹立して不滅の金字塔の“保険”をかけたいところ。

 五輪と世界選手権の連勝記録でも、カレリンの61連勝を超えた吉田が、まだカレリンを追い越していないのが、五輪の優勝回数(カレリン、吉田ともに3度。他に、3度優勝は3人いる)。

 さらに、五輪・世界選手権・大陸選手権の優勝も、カレリンが24回(五輪3・世界選手権9・欧州選手権12)であるのに対し、吉田は20回(五輪3・世界選手権10・アジア選手権・大会7)。世界大会と大陸選手権を同格に扱うのも不自然かもしれないが、カレリンの偉大さのひとつに、メジャー大会に数多く出場して負けなかったことがある。

 「カレリンを超える記録」として狙ってほしい記録ではある。吉田がこのあと、3度の世界選手権とリオデジャネイロ五輪で優勝すれば24回の優勝となって並び、その間のアジア大会、またはアジア選手権で1度でも勝てば、25回優勝となって追い越せるが…。