2012.09.24

世界女子選手権代表チームがカナダに向けて出発

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文・撮影=増渕由気子)

 ロンドン五輪で3連覇を達成し、五輪と世界選手権を合わせて12連覇中の吉田沙保里(ALSOK)ら女子代表チームが9月23日、成田空港発の日本航空で世界女子選手権の開催地、カナダ・ストラスコーナカウンティーへ向けて出発した。(右写真)

■現地で対戦相手を知って、そこから緊張か?

 吉田にとって、今大会の優勝は今までとは重みが違う。“霊長類最強の男”とまで称された男子グレコローマン130kg級のアレクサンダー・カレリン(ロシア)越えとなる前人未到の世界13連覇がかかっている。「今までで一番緊張した」と振り返ったロンドン五輪から約1か月半後の大イベント。吉田は「出ます」と即答し、13連覇に向けて調整を続けてきた。

 五輪3連覇の偉業を達成した吉田は、五輪後も多忙な日々を送った。練習拠点の愛知のみならず、東京や地元の三重など数度にわたるパレードやメディア出演、あいさつ回りなどが続いた。今月15日の日本協会80周年記念パーティーでは、「練習できない日は何日もあった」と告白したが、時間のある時にしっかりと練習はしてきた。

“勝歌”と位置付けるアイドルグループ『NEWS』のヒット曲『チャンカパーナ』の振り付けのポーズをとる吉田

 そのためか、出発前に「不安要素はない」とキッパリ。16日から東京で行われた約1週間の全日本合宿で満足のいく仕上げができたようで、「最後はしっかりと追い込むことができましたし、自信を持って闘いたい」ときっぱり。出場国やエントリー数が未定な部分があるため、「現地に入って対戦相手を知って、そこから少しずつ緊張するのかな」と予測した。

 2010年ごろから“女カレリン”としてメディアから注目され、自身もカレリンの記録を目標に現役を続けてきた。今回優勝したら、カレリンと比較することも最後となる。「(カレリンの記録を意識してからここまで)早かった。(カレリンの記録に並んだ)五輪も終わって、もう世界選手権がやってくる。大事な試合なので落とし穴がないようにしたい」と言い切った。

 五輪と世界女子選手権が約1か月半しか開いていないため、世間の注目度は高いままで、日本から多くのメディアがカナダへ渡る予定。「みんなが見てくれているので優勝したい。20代最後の試合、バチっと決めるよ!」と結んだ。

■五輪は勝ちに、今大会は攻めに行く…栄和人監督

 栄和人監督(至学館大教)は「今日の朝の練習でも、吉田はオリンピック前よりのびのびとしていた。心配なのは、オリンピックに出た選手が欠場しているとかを意識すること。そういう気持ちで出場したら足元をすくわれてしまう。13連覇を達成するには、誰がこようと関係なしに、全試合完ぺきな試合をする気持ちが大切。オリンピックはどうにか勝つというスタンスだったが、今回は、自分からポイントを取る、フォールするという攻めの姿勢で勝たせたい」と話し、油断しないよう万全を期す。

 大会は27日から始まり、初日が51・59・67kg級、第2日が55・72kg級、最終日が48・63kg級。