2012.08.29

リオデジャネイロ五輪へ向け、全日本女子チームが合宿をスタート

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 リオデジャネイロ五輪へ向け、全日本女子チームが早くも始動した。世界ジュニア選手権(9月4~9日、タイ・パタヤ)、ゴールデンGP決勝大会(9月21~23日、アゼルバイジャン・バクー)、世界女子選手権(9月27~29日、カナダ・ストラスコーナカウンティー)の代表選手を含めた約50選手が8月27日から東京・味の素トレーニングセンターで合宿をスタート(右写真)。4年後に照準を合わせた熱き闘いを31日まで続ける。

 世界選手権に出場する55kg級の吉田沙保里(ALSOK)は五輪後の行事のため、29日から参加予定。

 参加選手の中には、25日に行われた全日本学生選手権(インカレ)に出場した選手や、9月4日の世界ジュニア選手権(タイ・パタヤ)の日本代表選手もいるが、そんな事情はお構いなしの“フルモード”の練習。栄和人・女子強化委員長(至学館大教)は「徹底的に息を上げろ。けがを恐れるな」と指示を出し、追い込む合宿を実行した。

 「若い選手なら1日か2日もあれば疲れはとれる。調整なんて現地へ行ってからでいい。(吉田)沙保里も、ロンドンでは直前まで息を上げる練習をやっていた」と話し、今回の合宿がジュニア選手の大会前の調整合宿ではないことを強調。ロンドン五輪で金メダル3個を取った“勝利”を引き継ぐべく気合いを入れた。

山梨学院大の男子選手を連れて参加した高田裕司専務理事

 五輪だけでなく、前週に行われた世界カデット選手権(アゼルバイジャン・バクー)では6階級で優勝するという好成績を挙げ、日本女子チームとしては昇り調子。栄委員長は「各所属が指導をしっかりやってくれてきたおかげだと思う。全日本チームでさらに伸ばせるような練習をやっていきたい」と話し、所属と全日本との連携を強めて4年後の勝利を目指すことを話した。

 日本協会の高田裕司専務理事(山梨学院大監督)は「ロンドン五輪は終わった。もう過去のこと。リオデジャネイロを目指す闘いが始まっている」と選手を激励。同大学はインカレが終わってしばしのオフに入っているが、数選手を女子の練習相手として参加させ、バックアップ体制はロンドン五輪前と変わらない。

 「ロンドンでいい成績をとれたのは、世界一の練習をやってきたから。世界一の練習をゆるめてはならない」と話し、練習の量と男子選手の技術を学ぶ質の両面での充実を掲げた。

■伊調馨が世界選手権代表選手をサポート

 世界ジュニア選手権に女子のコーチとなってから初めて監督として参加する笹山秀雄コーチ(自衛隊)は「オリンピック、世界カデットといい成績が続いたが、それにまどわされることなく、思い切り闘わせたい。全員が自分の力を出し切れば、去年なみの成績(5階級優勝)はいくと思う」と話した。

世界選手権63kg級代表の工藤佳代子(右)と練習する伊調馨

 オリンピックを見て感じたことは、「日本選手は止まってしまっては勝てない」ということ。組み合ってしまってはパワーのある外国選手が有利で、「相手を動かして、崩して、それで攻めること」を選手に要求した。コーチとして遠征経験の豊富な吉村祥子コーチ(エステティックTBC)が同行するので、「心強いです」と話した。

 練習には63kg級で五輪3連覇を達成した伊調馨(ALSOL)の姿もあった。「オリンピック前に世界選手権の代表選手から練習相手を務めてもらったので、今度は私がお手伝いする番です」と、自身の練習ではなく代表選手のサポートのための参加。「みんないいタックルを持っている。自分を信じて頑張ってほしい」と言う。

 ロンドン五輪では日本の強さを世界にアピールし、今まで以上に日本のシングレットを着ているだけで相手はびびってくれることが予想されるが、「外国選手は、ダメで元々で大きな技をかけてくる場合がある。それは気をつけてほしい」と注意をうながした。

 自身は五輪前に痛めた左足首のけがが治っておらず、本格的な練習開始のめどは全く立てていない。「足首のけがというのは、しっかり治しておかないと長引きますから」と、復帰は完治させてからとことで、12月の全日本選手権の出場も未定。「まず、しっかり治します」と話したが、練習の最後のロープ登りや懸垂といった補強練習にもしっかり参加するなど、“お手伝い参加”とは思えないくらい必死に汗を流していた。

栄和人強化委員長はマット上を精力的に動き回り、アドバイスを送った

齋藤将士コーチと練習する72kg級代表の鈴木博恵