※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=保高幸子)
全国高校生グレコローマン選手権の74kg級はインターハイでの混戦をものにした奥井眞生(和歌山・和歌山工)が勝った。(右写真)
奥井は今夏、2年生にしてインターハイを制しただけでなく、春にはJOC杯カデットも勝っており、今月21日からの世界カデット選手権(アゼルバイジャン・バクー)の代表に選ばれた。今年グンと成長を見せている選手。
「今年の目標はインターハイ優勝でしたが、それを達成した後は昨年3位だったこの大会で優勝するということに切り替えました」。決勝ではローリングを3度決めるなど終始自分のペースで試合を運び、昨年のインターハイ3回戦などで2度敗れている松坂誠應(長崎・島原)にリベンジを果たした。フリースタイルもグレコローマンも制する事に成功し、文句なしの高校王者となった。
和歌山工の山路明監督はロンドン五輪代表の湯元進一・健一兄弟を送り出している。それだけに、五輪のテレビ観戦にはいつも異常に熱心だった。「湯元先輩は尊敬しているし、目標にしています。進一さんがメダルを獲ったのをみて刺激を受けました」。
決勝で闘う奥井(赤)
また、男子フリースタイル66kg級の米満達弘(自衛隊)の金メダル獲得も、その瞬間をテレビで見ていた。男子レスリング界24年ぶりの金メダル。ということは、18歳の奥井が生まれてからは初めての五輪金メダル。「僕もガッツポーズしてしまいました。日本人には無理なのかな、思っていた金メダルをとった米満選手を見て、日本人でも取れるんだ! 自分も五輪を目指したい! と思うようになりました」と、レスリング最高峰の闘いへの思いも強くなった。
そんな奥井は、21日に自身初めての国際大会、世界カデット選手権へ向けて旅立つ。「昨年も出場した文田(55kg級=山梨・韮崎工)にいろいろ聞いています。自分の力がどれだけ通用するか、試したいです。でも、出るからには優勝を狙います」と照れ笑いを浮かべた。