※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=保高幸子)
6月に行われた明治杯全日本選抜選手権で、実力者がきっこうする51kg級で初優勝をとげた川井梨紗子(愛知・至学館)。大会前の予想では優勝候補には挙げられていなかったが、ふたを開けてみれば高校生唯一の優勝を果たし、一躍注目を浴びた。
今回の全国高校女子選手権でも順当に勝ち、8階級で5人の優勝者を出した至学館の“団体戦”優勝に貢献した。(右写真)
両親とも元レスリング選手。父・孝人さんは学生二冠王者で、母・初江さんは世界選手権出場経験ありというサラブレッドの川井は、全日本選抜選手権の優勝によって「親子での世界選手権出場」に王手をかけた状態。高校生のみの今大会では、栄和人監督(日本協会女子強化委員長)に「勝つのはあたりまえ。内容を見て、世界選手権に出せるかどうかを判断する」と言われていたそうで、「緊張しました」と言う。
尊敬している吉田沙保里(ALSOK)のようにタックルが得意だが、今大会は成長を見せたかった。練習を重ねてきた「組み手を使うなど、タックルに頼らないレスリング」の成果も出せたと言う。4試合のうち3試合がフォール勝ちで、残る1試合は2ピリオドともテクニカルフォールによる勝利。4試合の総得失点は43-0という内容に満足げな表情だ。
決勝も44秒でフォール勝ち
今月行われたロンドン五輪では吉田沙保里(ALSOK)ら先輩選手の闘いを見て「感動しました」と興奮気味に話す。いい刺激を受け、意欲もますます向上している。「世界選手権に出たい。出たら必ず優勝します」と息巻く。
日本レスリング界に数々の功績を残してきた至学館から、新たなスターとなることができるか。日本レスリング界初めての「母と娘」の世界選手権まで一歩近づいた。