2012.08.13

米満達弘優勝 関連談話

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 ■日本協会・福田富昭会長「日本男子レスリングも復活の兆しが見えてきてうれしく思う。米満は冷静沈着で、自分の持っている技を全部出せる選手だった。こういう選手はなかなかいないし、これができることは偉大なことだ。最大の評価を与えたい。佐藤強化委員長は非常にまじめに一生懸命やってくれたし、日本人の真面目なところを出してくれたと思う。

今回の金メダルの意味は非常に大きい。ひとつは、日本レスリングの復活。日本スポーツ界の中にレスリングの占める割合が7個中4個。オリンピックの最終日に金メダルで有終の美を飾れてよかったと思う」


 ■日本協会・高田裕司専務理事「試合は何が起こるかわからないけど、米満は最初から勝つと思っていた。いい勝ち方です。最高の勝ちっぷりをしてくれたんじゃないですか? 米満は足に手がひっかかったら取れますから。彼のレスリングは誰も真似できない。今日の米満はタックルが良かった。確実にひっかかったら取っていた。本当に、我々も見ていて、安心していられる。ロンドンに来る前に(けがで)スパーリングができなかったでしょう。それが、逆によかったかもしれない。彼を取り巻く環境である自衛隊が組織的にバックアップしている。本当にすごい。

4年前の北京で松永共広が決勝でアメリカと闘うことになった。楽に勝つだろうと思ったら負けてしまった。気を抜くなよと言ったら、「大丈夫です。新しい選手ではなくてやったことがある選手なので、その辺は大丈夫です」と言った。決勝の相手、インドの選手は決勝に進むことになった時点でガッツポーズをしていた。決勝に行ったことで、満足しているんだなと思った。(米満が)1点取ったら、あきらめるだろうな、と思った。

 男子レスリングはずっと悔しい思いをしてきた。男子もスターが生まれたので、伝統を作っていってほしい」


 ■高校時代の恩師の文田敏郎・韮崎工高監督「最高です。こんな気持ちになったことは初めて。やってくれると信じていましたから、わくわくして見ていました。ドキドキはなかったです。きょうは2試合目にクリンチの攻撃権を取りながら、ポイントを取れなかったことだけがミス。あとは完ぺきでした。

 すごいブロックだったんですよね。(世界王者の)イランがいて、ロシア、アゼルバイジャン…。このブロックを勝ち抜いたから、優勝できたのでしょう。平成14年(2002年)からレスリングを始めちょうど10年目。10年でここまできたのはすごい。誇りです。佐藤満強化委員長とは日体大の同期なんです。彼以来の金メダルなんですね。

 (レスリング不毛県と言われた山梨県からの五輪金メダリスト誕生は)いろんな人の手を借りてできました。感謝です。五輪2連覇もできます」


 ■大学時代の恩師、拓大・西口茂樹部長(日本でテレビ観戦)「生中継を見ていました。彼らしい見事な試合でしたね。大学へ入った時から、北京五輪とロンドン五輪で金メダルを取ると言い続けてきました。その気持ちを持ち続けたことが、この結果になったのだと思います。大学内での勝ち負けにこだわらず、オリンピックで勝つための指導をしてきたと自負しています。それが報われました。

 (日本男子24年ぶりの金メダル)長かったですね。自分はオリンピック(1988年ソウル大会・1992年バルセロナ大会)でメダルを取れずに悔しい思いをし、ずっとその気持ちを引きずってきました。これで、やっとその呪縛から解放されますね。

 (父が「大学3年生の頃に一番悩んでいたようだ」と話したことに対して)勝てない時期もありますよ。いつも勝てる選手なんていない。負けられないという気持ちがまさっていたのでしょう。そのあとに(ポジティブ思考の)須藤元気監督が就任し、前向きな気持ちになってくれたのだと思います」


 ■観戦に来ていた昨年の世界ジュニア選手権銀メダリストの文田健一郎選手(山梨・韮崎工高)「うれしいです。刺激され、自分もオリンピックに出たい気持ちでいっぱい。もっと努力します。(インターハイで2位に終わり)もやもやがありましたが、吹っ切れました。吹っ切れては(悔しさを忘れては)いけないんですけど、頑張るという気持ちになりました」