2012.08.12

【ロンドン五輪第7日・特集】「メダルはなかったけど、よくやったと思います」…湯元鉄矢さん

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 【ロンドン(英国)、文・撮影=樋口郁夫】ラスト20秒で逆転負けを喫し、兄弟ダブルでのメダル獲得はならなかった湯元兄弟。父・鉄矢さんは決勝戦までを見届けてから席を立った。「礼儀でしょう。自分の息子が負けたからといって帰るのはね」とのことで、60kg級のすべての試合が終わったあと、応援席を後にして試合を振り返った。

健一選手に声援を送る父・鉄矢さん。手前は弟の進一選手

 「しょうないわ、ほんまに。最後、バックを取って勝ったと思った。アンクル(ホールド)行かなかったからなあ…。アンクルにいけば時間を稼げて勝機がきていたと思う。なんか知らんけど…」。さばさばした表情をつくって話してくれたが、つかみかけたメダルをあと一歩で逃した悔しさはありあり。

 この階級は、湯元が2回戦で負けたアスガロフ(アゼルバイジャン)が世界3連覇のロシア選手を破って優勝。「健一を含めて、だんごでしたね」と感じただけに、無念さがつのったようだ。しかし、「(健一は北京五輪で銅メダルなので)兄弟仲良く銅メダル1個ずつで、いいちゃっいますか」と大笑い。「前回の北京からよくやったと思います。国内の激戦階級でマークされ、ヘルニアの手術をやりと大変だった。メダルはなかったけど、いい試合やったので、ご苦労さんと言いたいです」と、激闘をねぎらった。

 試合中は両手を合わせて祈ることが多かった母・サツエさんは「よくやってくれました。ご苦労さまと言いたいです、最高の息子です」と、言葉少なに息子の頑張りを褒めたたえた。