2012.08.10

【ロンドン五輪第5日・特集】浜口京子(ジャパンビバレッジ)は3大会連続メダル獲得ならず

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

【ロンドン(英国)=増渕由気子 撮影=保高幸子・矢吹健夫】五輪3大会連続メダルならず―。女子72kg級の浜口京子(ジャパンビバレッジ)は初戦で2011・12年アジア選手権優勝のグゼル・マニュロバ(カザフスタン)に1-2で敗れ、日本女子として唯一メダルを逃してしまった。

 決勝のピリオド数1-1で迎えた第3ピリオド。ボールピックアップの延長戦に突入し、ボールは浜口の青が出て優先権を得たが、場外際でタックルを返されて3点。日本陣営はチャレンジ(ビデオチェック)をしたが認めらず、初戦で敗退。浜口のブロックは、ロシア、中国など強豪ひしめくブロックだったためマニュロバは実力がある選手だが、次戦で優勝したロシアのナタリア・ボロベワ(ロシア)にフォール負け。浜口は敗者復活戦に回れず、2004年アテネ銅、2008年北京銅に続いて連続メダルの獲得はならなかった。
 
 浜口は開口一番に「勝てると思ったんですけど」と声を絞り出すのがやっと。組み合わせも実力者が浜口と同ブロックに集まるなど、厳しい山に入ってしまったことも敗者復活の道が断たれたことに影響はあった。「五輪だから強い選手が集まっているのは当たり前。どんな相手でも、今回のロンドン五輪は自分のことを信じて、今までやってきたことをすべて出そうというのが目標だった。だからずっと強気で弱気にならないようにしました」という姿勢で試合に臨んでいた。五輪で初戦敗退で終わったのは初めてのことだったが、34歳でアジア予選を勝ち抜いて出場したロンドン五輪。「全力は出し切れた」と言い切った。
 
 72kg級は最近、若手の台頭が著しい。浜口にとって「世界の72kg級の壁を見たロンドン五輪だった」と振り返る。優勝したのは21歳と若いナタリア・ボロベワ(ロシア)。現実を浜口はしっかりと受け止めていた。5月のW杯では「おそらく日本で最後の試合になるかも」とロンドン五輪での引退を示唆していたが、去就については「自分と相談するけど、まだまだレスリングシューズは脱ぎたくはない」と完全引退は否定した。
 
 会見の途中で、父のアニマル浜口さんが登場。「京子、あんな負け方ないだろう。毎日毎日、何練習してきたんだよ。ラスト1秒、場外際で腰落としてちょっと出せばいいじゃないか。それで、勝ってたんじゃないか。初歩的なことで負けたから言うんだよ」とまさかの初戦敗退に「俺自身が収まらないよ」とコメントし、最後は「リオ、リオ、リオ!」と愛娘に現役続行エール。3度目の五輪コールを浜口はどう受け止めるのだろうか-。