2012.07.25

【全国少年少女選手権・特集】来年は満を持しての北海道開催…札幌ちびっ子クラブ・平澤光志代表

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文=増渕由気子、撮影=保高幸子)

 第29回を迎えた全国少年少女選手権大会は、ロンドン五輪代表選手の壮行会を開会式前に行うなど小学生にインパクトを与える企画を盛り込んで行われた。

 この大会はこの数年、積極的に地方開催を行ってきた。昨年は新潟、一昨年は広島。そして来年は満を持して北の大地、北海道札幌市の道立総合体育センター「北海きたえーる」での開催が決定している。

 大会招致に尽力した札幌ちびっ子レスリング教室代表の平澤光志氏は「会場も決まり、マットも東京開催と同じ8面分は確実に準備できています。今大会の1400人ほどエントリーがあっても受け入れる態勢は整いつつあります。毎年夏に北海道の大会をやってきましたので、運営面も大丈夫です」と、大きなトラブルもなく準備をすすめていることを明らかにした。

 北海道開催で懸念されるのが交通費の問題があるが、平澤氏は「最近は安い飛行機チケットも出てきました。電車でも来ることができますし、値段を取るならフェリーが一番です」といろいろな方法を提示した。宿泊施設も札幌市なら受け入れ数は十分で、小学生で最大の試合と夏休みの家族旅行が一度に楽しめる一石二鳥の遠征になりそうだ。

 「札幌まで来てしまえばアクセスは抜群。札幌駅から地下鉄10分。駅直結の全天候型です。季節的に食べ物が一番おいしい時期。大通りのビアガーデンも始まっていますし、家族全員で前もって計画を立ててぜひ来ていただきたいです」と、今までと変わらぬ参加を呼びかけた。

 平澤氏が期待するのが地元・北海道のレスリング活性化だ。北海道と言えば2004年アテネ五輪男子フリースタイル55㎏級で銅メダルを獲得した田南部力・警視庁コーチ(現全日本コーチ)や、2006年ドーハ・アジア大会同級銅メダルの田岡秀規さんなどを輩出。近年でも平澤氏の教え子である前川勝利(早大)と山本康稀(日大)が、それぞれ大学1年生ながら全日本選抜選手権で優勝するなど、好選手を数々と送り出している。

 しかし、北海道全体で見ると、まだまだレスリングの普及には伸びしろがある状況だ。その伸びしろを伸ばし切れない事情がある。「現時点では札幌、旭川、帯広のチームは全国少年少女連盟に登録していますが、天塩、士別、岩内のチームは登録しておりません」。その理由は、全国大会が東京など遠方で行われてきたためだ。

 「全国大会に出るには札幌での前泊が必要で、他のチームより大幅に宿泊代などがかさんでしまう」などの諸事情で全国大会参加を見送ってきたからだ。平澤氏は「全国大会の地元開催をきっかけに今回はぜひ参加してもらい、北海道のレスリング活性化につなげたい」と気合を入れる。

 準備を進める中でネックになっている部分もある。「レスリング関係者が少ないため、大会運営のボランティアがまだ思うように集まっていません。現在は3、40名ほど。50名ほどは集めたい。こんな大きな大会は、一生に何度とできることではないので、精いっぱい頑張ります」と大会成功に尽力することを誓った。