2012.07.04

栃木県28年の悲願に期待高まる…斎川哲克(両毛ヤクルト販売)の壮行会

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文・撮影=増渕由気子)

 五輪や世界選手権の前哨戦として歴史のあるピトラシンスキ国際大会(ポーランド)で優勝し、重量級ながら五輪のメダル候補に躍り出た男子グレコローマン96㎏級・斎川哲克(両毛ヤクルト販売)の壮行会が7月2日、地元の栃木県足利市のニューミヤコホテルで行われ、元プロレスラーで1980年モスクワ五輪の幻の代表、谷津嘉章氏ら約150人がお祝いに駆けつけた(右写真)
 
 北関東は、茨城に高校レスリングの雄・霞ヶ浦高があり、群馬は五輪V2の小幡洋次郎(旧姓上武)氏や世界V5の高田祐司・日本協会専務理事など数多くのトップ選手輩出している。しかし、栃木県は1968年メキシコ五輪で金子正明氏が金メダルを獲得しているものの、両県に比べると寂しい結果が続いてきた。
 
 県勢の五輪出場は、斎川の高校時代の恩師、長島偉之・足利工高監督が1984年ロサンゼルス五輪に出場して以来の快挙。壮行会に駆けつけた関係者は「やっと五輪選手が出たよ」と口をそろえた。
 
 壮行会はロサンゼルス五輪の時に使われたファンファーレで幕が開け、司会は男子で唯一五輪を連覇した小幡洋次郎氏が担当。所属の両毛ヤクルト販売代表取締役・相馬稔氏や、足利市長の大豆生田実氏、衆議院議員の茂木敏光氏、大学時代の恩師、藤本英男氏ら数々の来賓が駆けつけた。約10日前に国際試合で優勝したことも弾みになり、壮行会は大いに盛り上がる祝辞ばかりだった。
 

長島監督(左)と谷津嘉章氏が激励

 乾杯を前に斎川は、「この1、2年、全日本でも勝てない時期がありました。昨年のトルコの世界選手権にも出ていません。五輪前年の世界選手権に出ていないので、焦りはありました」と本音を吐露したが、五輪への目標は「まずは1回戦突破を目標に頑張りたい。(子供たちが)ヤクルトのお兄ちゃんみたいにと思われるようになりたいし、(五輪後は)足利に戻ってきていい報告をしたいので、テレビに映ったら応援お願いいたします」とあいさつした。
 
 司会進行を務めた小幡氏は「日本の軽量級がそのまま大きくなった選手。(ピトラシンスキでの優勝は)本当に頑張った。でも、五輪はまた別物。残り1ヶ月、すべてを忘れ、他のことは犠牲にしてレスリングに集中し、打ち込んでほしい」と五輪選手の先輩としてアドバイスを送った。
 
 長島監督は「わずか1年での階級アップで、最初はにわかに作った身体だったが、中身が追いついてきた。斎川には『満足した時点で負けるよ』と伝えてあります。3月の五輪予選後、すこし満足感があったようだけど、また最近切り替えられたようだ」と栃木県勢として28年ぶりの五輪メダルに期待を寄せた。