2012.06.22

【明治杯全日本選抜選手権・特集】男子グレコローマン60kg級・峯村亮(神奈川大職)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文=渋谷淳、撮影=矢吹建夫)

決勝でフォールを狙う峯村

 グレコローマン60㎏級で峯村亮(神奈川大職)がクラスを上げて初優勝。「まさか優勝できるとは思わなかった。ずっと2位だったので素直にうれしい」と喜びを表現した。

 55㎏級時代とは別人のようなレスリングだった。これまでは得意としているグラウンドで勝負をつけようとするあまり、スタンドの攻防は淡泊になりがちだったが、この日は初戦から積極的にスタンドで攻めた。

 「上にいく選手はみんなスタンドが強いので、意識してスタンドの強化に取り組んだ」

 練習の成果を強く感じさせたのが準決勝と決勝だった。準決勝では第1シードの倉本一真(自衛隊)をスタンドの攻防だけで撃破し、決勝の城戸義貴(自衛隊)戦では、第3ピリオドにスタンドだけで5ポイントを奪取。グレコローマンで圧倒的な強さを誇る日体大勢と自衛隊勢を総なめにする価値ある優勝でもあった。

■周囲のサポートで現役続行を決意

 昨年までは55㎏級でオリンピック出場を狙うも、第一人者の長谷川恒平(福一漁業)の牙城を崩すことができず、ロンドン五輪への道は閉ざされた。12月の全日本選手権が終わった直後は「社会人として仕事もしっかりしたかったので、レスリングを続けようかどうしようか迷った」というが、その職場の温かいサポートを受けて現役続行を決意。現在は大学職員として9時から5時まで勤務した後、神奈川大の学生たちと汗を流すという昨年までの生活に戻っている。

 階級を上げたことについて「減量が楽になって仕事への影響も少なくなった」と語るあたりに、職場への感謝がにじむ峯村。4年後を問われると「まだそこまでは見えない。1年、1年がんばって4年先がある。まずは国体、12月の天皇杯に勝ちたい」と謙虚に目標を掲げていた。