「虎」がコンセプト…ロンドン五輪の勝負シングレット

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

　本協会のオフィシャルサプライヤー、株式会社アシックスが提供するロンドン五輪の公式シングレット（試合着）とシューズが６月17日、明治杯全日本選抜選手権最終日の決勝戦前に披露された。今大会のキーワードは「虎」。胸部に虎の顔を大きくプリントし、シングレット全体に虎柄をあしらい、「強さ」と「勝利」を表現したものになった（右写真）。

　高田裕司専務理事は「このウェアを着て金メダルを取りたい。今回は虎で勝負をかけたいと思います」と期待を寄せた。大胆なデザインについては、高田専務理事が「今回のウェアにも強さの象徴の何かを入れてほしい」と要望を出し、アシックスが実現してくれたという。

　機能性は前回の北京五輪以上の仕上がりとなった。素材はポリエステルから帝人ファイバー株式会社との共同開発した「ＮＡＮＯＦＲＯＮＴ」を採用し、フォルムもレスリングの基本姿勢にフィットさせた専用のパターンを使用した。これにより、体幹の安定による体軸のブレ軽減や部分着圧による筋動既往率のアップを可能にさせた。

　マット上でのロンドン五輪日本代表選手紹介のあと、シングレットのモデルとして登場したのは、北京五輪から連続代表となった男子フリースタイル60㎏級の湯元健一と女子55㎏級の吉田沙保里（ともにＡＬＳＯＫ）。湯元は「北京五輪時とはだいぶ違います。着心地がとてもいいです」と話せば、吉田も「ユニフォームのデザインに虎の絵が描いてある。相手が虎の絵に目を取られている間にタックルに入りたいと思います。デザインは気に入っています」と感想を述べた。

　シューズは選手個々のフルオーダーで作られた。湯元は「たくさんの意見を挙げさせてもらって、自分に合った物を作ってもらった」と話し、アシックスと協会を挙げた自信作に仕上がった。

　2004年アテネ五輪時は仁王像、前回2008年北京五輪時は大きな黄金の昇り龍が描かれて、そのシングレットでメダルを量産した。今回もこの“勝負服”でメダルラッシュが実現するか－。（文＝増渕由気子）

決勝戦前に披露されたロンドン五輪シングレット	マット上では実践での有効性を披露
決勝戦後の会見で、２人は虎ポーズ！	五輪代表選手がそろい（遠征中の斎川哲克を除く）