2012.06.16

【明治杯全日本選抜選手権・第1日】各階級優勝選手の声

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(6月16日、東京・代々木競技場第2体育館/取材=増渕由気子、三次敏之、渋谷淳)


 ■男子グレコローマン66kg級・音泉秀幸(日体大=昨年は全日本学生選手権3位など)「やっと大きなタイトルを獲得することができました。決勝の相手(同門の富塚拓也)は手の内は知り尽くしている同士でしたが、自分はしっかり練習できる環境にあったと思うので、結果を残せて良かったです。尊敬している松本慎吾監督を見習って、オリンピックを目指している。もっともっとグラウンドのディフェンス力も高めたい。厳しいのは分かっていますが、天皇杯(全日本選手権)も狙いたい」(右写真=決勝戦。青が音泉。第3ピリオドにそり投げ気味に投げて勝負を決めた)

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 ■男子グレコローマン74kg級・清水博之(自衛隊=階級を上げて優勝し、2階級制覇を達成)「久しぶりの優勝でうれしいです。ロンドン五輪に出られず、一度はモチベーションが落ちたけど、もう一度頑張ろうと気持ちを高めました。今回は新庄先輩(寛和=全日本王者)から直伝されたウエートトレーニングの成果が出たと思います。4年後はまだ見えないけど、1年1年成果を出し、国際大会の経験も積んで4年後につなげたいです」(左写真=決勝戦。青が清水。第3ピリオド、リードし、さらにバック投げを狙う)

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 ■男子グレコローマン84kg級・天野雅之(中大職=ロンドン五輪の道が途絶えた直後にもかかわらず優勝)「4月の五輪予選で84㎏級の出場権を取れず、応援してくれた人たちにすごく申し訳なかった。優勝した立場で皆さんへ感謝の言葉を伝えたかった。こうやって優勝してお礼を言えることができてうれしい。ロンドン五輪の予選が終わって、多くの方から『次の五輪を目指してほしい』といわれた。4年後はすごく長い道のりだけど、五輪へ一歩ずつ進んでいきたい。当面の目標は、国体、全日本選手権、そしてまだ出場していない世界選手権です」(右写真=決勝戦。赤が天野。相手の投げをこらえて押しつぶし、フォール勝ち)

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 ■男子グレコローマン96kg級・大坂昴(早大=昨年の世界選手権代表ほかを破って初優勝)「優勝できましたが、正直、まだ実感が湧かないです。1回戦の赤嶺希選手(青山学院大学)とはいつも第3ピリオドまでもつれてしまうのですが、接戦をモノにでき、自信につながった。準決勝、決勝は自分を信じて闘いました。優勝できた原動力は、責任感と自覚が芽生えたからだと自分では思っています。大学1、2年生の時の自分と3年生になった自分は気持ちの面で向上したと思っています。自分が勝たなければいけない、そういう集中力が切れなかったのもよかったと思います」(左写真=決勝戦・赤が大坂。世界選手権代表を破る)

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 ■男子グレコローマン120kg級・中村淳志(奈良県体育協会=2008年全日本選手権以来の全日本レベルの優勝)「優勝はうれしいいですけど、正直に言って複雑な心境です。新庄(寛和)さんと前川(勝利)選手が出場していない、つまりトップメンバーがそろっていない中での大会でしたから。でも、勝てたことはホッとしています。職場の人たちにも理解してもらって、2時から3時くらいには仕事を切り上げられて練習に行っている。練習環境が整っているので優勝しなくてはいけないくらいの気持ちでした。職場の人たちに感謝しているので、優勝して恩返しできました」(右写真=決勝戦。赤が中村。順当に優勝を決める)


 ■男子フリースタイル66㎏級・田中幸太郎(早大=全日本レベルの大会で初優勝)「優勝は率直にうれしいですが、まだ優勝した実感はありません。決勝は結果としてクリンチ勝負になってしまい、喜べる内容ではなかったので反省したい。相手は大学の先輩、石田(智嗣)選手で、胸を借りるつもりで闘った。内容は満足してないけど、取りこぼすことなく決勝まで行って勝てたので、その点は評価できるかも」(左写真=決勝戦。赤が田中。クリンチからテークダウンを決める)

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 ■男子フリースタイル74㎏級・小島豪臣(K-POWERS=74㎏級で初優勝。有終の美を飾る)「準決勝で肩を痛めてヤバイと思いましたが、何とか乗り切れました。今回が最後の試合だと思っていたので、優勝できてよかったです。オリンピックに出られず、1カ月くらいは練習ができなかったけど、会社や応援をしてくれた人に恩返しがしたいしと思って今大会に出場しました。(現役続行の気持ちを問われて)ちょっと疲れたので、今は休みたい気持ちです」(右写真=決勝戦。赤が小島。1-0、1-0で確実に勝利を手にする)

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 ■男子フリースタイル96㎏級・山本康稀(日大=フリースタイルの大学1年生として大会史上初の優勝)「優勝できてうれしい。岡(倫之)先輩がすぐ前の試合で勝ったので、自分も続こうと思った。大舞台ですごく緊張して、全然身体が動かなかったが、第2ピリオドはタックルが決まってよかった。ロンドン五輪に(この階級の)磯川選手が出場することができたので、自分もリオデジャネイロ五輪に出られるように頑張りたい。東日本学生選手権では(チームの負けとなる)悔しいフォール負けがあった。あの負けがあって、今があります」(左写真=決勝戦。赤が山本。タックルを決める)

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 ■男子フリースタイル120㎏級・岡倫之(日大=昨年の学生王者から一段アップ)「大学に入る時に掲げた目標が日本一になることだったので、すごくうれしいです。腰をけがして、半年近く十分な練習ができませんでした。ウエートトレーニングを中心にできることをやったのが良かったと思います。全日本選手権では荒木田さん(進謙=今回は欠場)を倒して真の王者になりたいと思います」(右写真=決勝戦。青が岡。1-0、1-0で確実に勝利を決めた)


 ■女子55kg級・浜田千穂(日体大=男子強豪チームから女子初の全日本レベルの大会の優勝)「優勝できて素直にうれしいです。気持ちで負けてしまうところがあるので、気持ちで負けないように前に出ることを心がけました。JOC杯とアジア・ジュニア選手権で優勝できたのは自信になりました。本来の55㎏は強い選手がゴロゴロいるので、もっともっとパワーをつけて練習に励みたいと思います。日体大の男子選手は意識が高いので、その中で鍛えられました」(左写真=決勝戦。赤が浜田。第3ピリオドのクリンチで勝負を決める)

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 ■女子59㎏級・島田佳代子(自衛隊=2年ぶりの優勝。前回はプレーオフで敗れ世界選手権出場を逃す)「とてもうれしい気持ちです。世界女子選手権(9月)の日本代表はまだ確定ではないので、今後の合宿で練習を積み重ねて、世界選手権に行けるようにしたい。決勝の相手(伊藤彩香)は合宿で何度もやったことがあり、手の内がお互いに分かっていたが、最後はフォールで決められてよかった。初戦は大学の先輩の山本聖子選手で、とても緊張しました。相手がだれであれ、精いっぱいやろうと覚悟を決めた。よく『タックルに入らない』と言われるので、攻めてポイントを取ろうと思った。目標は世界選手権で優勝することです」(右写真=決勝戦。青が島田。若手を退けて優勝)

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 ■女子67kg級・井上佳子(クリナップ=67kg級に戻し、新進気鋭の全日本チャンピオンを破って優勝)「ボールピックアップで勝てたようなものなので、自分の力で勝ったとは感じていません。去年の世界選手権でメダルを獲得することができたので、今回勝ててホッとしています。世界選手権で勝つためにも、タックルから続けて攻めるようにすることが課題です。決勝の相手(土性沙羅)は大学の後輩だったので負けられなかった。でも、よきライバルです。会社(クリナップ)全体がレスリング部を応援してくれているので、その期待にも応えなければいけないと思っています。4年後のオリンピックも視野に入れて、たくさん練習します」(左写真=決勝戦。青が井上。3ピリオドともクリンチの末、勝利を手にした)