※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)
沼尻直杯全国中学生選手権の女子40㎏級は、金原香澄(愛知・依佐美)が決勝で地元の大高梨沙(茨城・大子)を2-0で破って初優勝を遂げた(右写真)。
金原が所属する愛知・刈谷キッズからの全国中学生チャンピオンは初という快挙。金原は「優勝できてうれしい。試合は気持ちで勝てた。(応援してくれた)みんなのおかげです」と振り返る。小森正巳監督も「1度は決勝のセコンド席に座ってみたかった」と感無量の様子だった。
なお、小森監督は岐阜・岐阜西工高時代の1983年の国体グレコローマンで優勝。1993年の全日本社会人選手権・団体戦では、アイシン精機の選手として、すでに一線を退いていたがソウル五輪金メダリストの小林孝至(当時ユニマット)を破った実績を持っている。
金原の所属する刈谷キッズは、五輪V2の吉田沙保里(ALOK)が練習拠点としている至学館大から車で20分ほど。近年では2009年フリースタイル60㎏級5位でロンドン五輪の日本代表を最後まで争った前田翔吾(愛知・至学館大職)を輩出している。今年はクラブ創立25周年で、四半世紀の歴史を飾る全中優勝となった。
■“吉田沙保里&前田翔吾効果”でチーム全体が飛躍
選手の発掘で会場に訪れていた日本協会の栄和人・女子強化委員長(至学館大教)によると、刈谷キッズの選手はよく至学館の選手の胸を借りに練習に来るそうで、その中でも金原の頑張る姿は栄委員長の印象に残っていた。「すごく練習していたので、優勝してもおかしくないと思った。努力が実を結んだね」と言う。
金原と小森監督
刈谷キッズOBの前田翔吾が出場し、代表権は惜しくも取れなかったものの世界3位の湯元から1勝を挙げるなど大健闘した。小森監督は「みんなで前田君の応援をしました。これが子供たちにいい刺激になっているようです」と説明する。
今回、金原の全中初制覇は吉田沙保里と前田翔吾の存在が背中を押したようだ。金原は来年、高校生になる。「次は高校生でも優勝すること」と目標を掲げていた。