※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
ロンドン五輪の男子グレコローマン日本代表のうち、55kg級の長谷川恒平(福一漁業)、60kg級の松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)、96kg級の斎川哲克(両毛ヤクルト販売)の3選手が6月7日、伊藤広道監督(自衛隊)、梶尾安正トレーナー(日本健康医療専門学校)
とともに、成田空港発のアエロフロート航空でロシアへ向けて出発した。(右写真)
ソチにあるアレクサンダー・カレリン・ホールで行われるロシア・ナショナルチームの合宿に参加。17日までレスリング王国の選手を相手に最後の実力アップをはかる。斎川はこの合宿のあと、ポーランドで移動し、23~24日のピトラシンスキ国際大会に出場して帰国する。
7月上旬には韓国での合宿も予定されてはいるが、まだ決定していない。今回が五輪前最後の海外遠征となる可能性もあり、五輪に向けて最終的な強化にそれぞれ明確な目標を立てて旅立った。
66kg級代表の藤村義(自衛隊)はけがの回復に専念するため、遠征には参加せず、日本での調整となった。(文・撮影=保高幸子)
■伊藤広道監督(自衛隊)「ロシアの合宿に関して、ロシア・チームは選手層も厚く、色々なタイプの選手がそろっていて、実力もある。2、3番手の選手でも世界で通用する。そのロシア・チームとロンドン五輪前に練習できることは良い機会でもあるし、強化にも繋がる。
合宿の課題として全員に共通するのは、パーテールポジションの防御と攻撃である。個別には、長谷川選手はパーテール・ポジションのリフトの防御、松本選手はゾーン際での攻防、斎川選手は国内に練習相手が少なく、この機会を多いに活かしかし、スタンド、グラウンドともに世界で十分通用するという自信をつけること。
なお、斎川選手はロシア合宿の後、ポーランドの国際大会(レベルが非常に高い)に参加します。今回の遠征を通じて、ロンドン五輪に向け不安の払しょくと課題、そして手応え(自信)をつかんで帰国できる遠征にしたいと考えています」
■グレコローマン55kg級・長谷川恒平(福一漁業)「リフトのディフェンスを肌で感じてきたい。日本ではリフトに対する練習があまりできない。練習で持ち上げられたとしても、そこから間隔やタイミングをつかんで、五輪ではかからないように対策できるようにしたい」
■グレコローマン60kg級・松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)「グラウンドを中心に攻撃も防御もしっかりやってきたい。日本で大きな選手と練習しても、腕の長さが違うのでグラウンドでは感覚が違う。同じ階級の外国選手とできるのは大きい。スタンドについても、五輪直前なのですべては見せないが、いろいろ試し、相手がどのように対応してくるかを確認したい。この時期なのでけがは避けたいが、消極的にならずに練習したい」
■グレコローマン96kg級・斎川哲克(両毛ヤクルト販売)「海外で練習できるのは願ってもないチャンス。やはり、グラウンドの練習は日本ではできないので、しっかりやってきます。ピトラシンスキ国際大会おととしも去年も出ているので、強い選手が集まっていることは知っている。ロシアも1階級4人を出してくることもあり、レベルが高い。見るだけでも得るものがある大会に、出られる。五輪にピークを持って行くのが一番なので順位にはそれほどこだわらないが、いろいろ試していい調整と強化にしたい」