2012.05.31

【女子W杯・特集】日系米国選手、第2の故郷に五輪での健闘を誓う…クラリッサ・チャン

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 女子ワールドカップには、日本人の母親を持つ2008年世界チャンピオンのクラリッサ・チャン(米国)も出場した。昨年の世界選手権(トルコ)は7位となり、米国チームの中でただ一人、五輪出場枠を取れなかったが、今年3月の五輪パンアメリカン予選(米国)で優勝し、2大会連続の五輪出場を決めた。

 北京五輪は伊調千春から1ピリオドを取るなど善戦し、5位に入賞した。「もう一度オリンピックに出られることになって、とても興奮しています。もっと強くなって、いい成績を残したいです」と、4年前のリベンジを狙う。

 その前哨戦となった今回の大会だったが、2勝2敗と実力を発揮し切れなかった。「もっとしっかり練習しなければならないことが分かりました」と話し、今回の成績を糧(かて)にして最後の追い込みに入るという。秘策を問われると、「トレイン・ハード(厳しい練習)」と答えた。

 日本はハワイ在住の母の母国であり、東京は4年前に世界一に輝いた思い出の地。世界一に輝いたあとの約半年間は岐阜・中津川へ幼稚園の先生になるべく留学していた。日本は間違いなく第2の故郷。「(日本では)多くの人が私によくしてくれました。今回、お世話になった人も応援に来てくれ、アメリカの私に熱心に応援してくれました。とてもうれしかったです。だからこそ、もっといい成績を出したかった」と、ちょっぴり残念そう。

最後の試合でアゼルバイジャン選手を破ったチャン

 当初は北京五輪を機に選手生活を引退する予定で、米国予選の前に日本への留学を決めていた。しかし、北京五輪出場の経験が衝撃的で、もっと闘いたくなって2ヵ月後の東京・世界選手権へ出場。優勝して一段と闘志が湧き、日本滞在を短縮して米国チームに合流。ロンドン五輪を目指してきた。

 五輪後には31歳になる。今度こそ五輪を機に引退か? しかし、「分かりません」とにっこり。完全にレスリングに魅せられたようで、現役続行もありうる。一方で、「幼稚園の先生になるために、また日本に来たいです」とも。いずれにせよ、日本とのつながりは続きそうだ。

 日本の血が流れている選手のロンドンでの健闘が期待される。