※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
女子ワールドカップには、日本人の母親を持つ2008年世界チャンピオンのクラリッサ・チャン(米国)も出場した。昨年の世界選手権(トルコ)は7位となり、米国チームの中でただ一人、五輪出場枠を取れなかったが、今年3月の五輪パンアメリカン予選(米国)で優勝し、2大会連続の五輪出場を決めた。
北京五輪は伊調千春から1ピリオドを取るなど善戦し、5位に入賞した。「もう一度オリンピックに出られることになって、とても興奮しています。もっと強くなって、いい成績を残したいです」と、4年前のリベンジを狙う。
その前哨戦となった今回の大会だったが、2勝2敗と実力を発揮し切れなかった。「もっとしっかり練習しなければならないことが分かりました」と話し、今回の成績を糧(かて)にして最後の追い込みに入るという。秘策を問われると、「トレイン・ハード(厳しい練習)」と答えた。
日本はハワイ在住の母の母国であり、東京は4年前に世界一に輝いた思い出の地。世界一に輝いたあとの約半年間は岐阜・中津川へ幼稚園の先生になるべく留学していた。日本は間違いなく第2の故郷。「(日本では)多くの人が私によくしてくれました。今回、お世話になった人も応援に来てくれ、アメリカの私に熱心に応援してくれました。とてもうれしかったです。だからこそ、もっといい成績を出したかった」と、ちょっぴり残念そう。
最後の試合でアゼルバイジャン選手を破ったチャン
五輪後には31歳になる。今度こそ五輪を機に引退か? しかし、「分かりません」とにっこり。完全にレスリングに魅せられたようで、現役続行もありうる。一方で、「幼稚園の先生になるために、また日本に来たいです」とも。いずれにせよ、日本とのつながりは続きそうだ。
日本の血が流れている選手のロンドンでの健闘が期待される。