※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=池田安佑美、撮影=矢吹建夫)
東日本学生リーグ戦で5年ぶり26度目の優勝を果たした日体大。出場停止処分解除から最短での復活Vは、学生レスリング界の雄にふさわしいシナリオだった。OBや関係者の喜びもひとしおだったことだろう。今回は、選手だけではなく日体大OB関係者も一丸となって臨んだ。
その気持ちは日体大のベンチ風景に表れていた。東日本学生リーグ戦は各マットに関係者が座るベンチが用意されている。そこに、コーチとして北京五輪銀メダルの松永共広氏(現日体大大学院)、今夏のロンドン五輪代表の湯元健一(ALSOK)やロンドン五輪予選代表の松本篤史(同)を含む豪華な布陣だった。
松本慎吾監督(中央)を支えた(左から)松永共広、松本篤史、湯元健一のOB
普段はチームから“支援”を受けている湯元ら日体大OBの選手。湯元が「いつも世話になっているから、今回は僕らがサポートにまわった」と、インターバルでは選手の汗を拭き、的確なアドバイスをとばした。松本慎吾監督は「(現役のOBらに)ベンチに座るように直接頼んだり、約束したわけではなく、自然の流れでした。これは現役選手にとっては本当に光栄なことだったと思う」と、OBパワーが追い風となったと話した。
松永氏は「4月から大学院でコーチングの勉強をしているので」と、自らベンチに座って選手のサポートをすることを決めたようだ。「日体大卒業直後のリーグ戦の時に、今回のようにベンチで応援したけど、それから8、9年ぶりです」と振り返った。
試合で黒星を喫した選手に対しては「気持ちを切り替えるように伝えました。個人戦でも準決勝で負けて、3位決定戦へむけて気持ちを切替えなければいけないことがありますので」と、将来に生かせるアドバイスを送っていた。