2012.05.19

【東日本学生リーグ戦・特集】須藤元気流「楽しむレスリング」の成果は、秋に出す!

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文=保高幸子、撮影=矢吹建夫)

決勝戦、60kg級の鈴木康寛が勝ち、セコンドの高谷惣亮のハイタッチ。しかし、流れをつかめなかった。

 3年ぶりの優勝をかけた拓大の闘いは、5年ぶりの優勝がかかった日体大に敗れて終わった。

 今年の大会、優勝候補と言われていたのは拓大ではなかったが、須藤元気監督は「チーム全体の足並みは揃っていて統率が取れていた」と振り返る。しかし120kg級の全日本大学王者の村木孝太郎(3年生)が入院し、闘えない状況になったのが痛かった。木下駿(4年生)も太ももの裏のけが。2人を欠いた拓大は、決勝に出場することすら難しい状況だった。

 ふたを開けてみると、第3日の6回戦で国士舘大に3-4の黒星。須藤監督は「西口(茂樹)部長が選手を組み合わせ、チームがひとつになって頑張りましたが、国士舘大に負けて、もう無理なのでは、とも思いました」と、その時の気持ちを吐露してくれた。

 最終的には、拓大、日大、国士舘が1敗で並び、内容で拓大の優勝が決まった。日大との7回戦は、勝っても4-3なら優勝には手が届かない状況で、5勝が必要だった。厳しい条件だったが、「気運が上がっていて、優勝するという雰囲気でした。みんなの気持ちが一つになって、成し遂げることができました」と須藤監督。負けられない96kg級で勝利を挙げた横澤徹(4年生)は殊勲と言えるだろう。

■主力2人を欠いての決勝進出に、須藤監督は「褒めてやりたい」

 決勝では、復活した日体大に1-6のチームスコアで敗れた。須藤監督は「この状況で決勝まで上がれたのは、あきらめない気持ちでやってきたから。選手を褒めてやりたいです」と穏やかな表情。決勝前には、「僕の役割は空気作り。技術は西口部長が指導し、僕は『ムチとアメ』で言うところのアメのポジションです」と言う須藤監督ならではの“小芝居”の披露もあった。

決勝前、須藤元気監督(中央)を中心としたパフォーマンスで士気を高めた拓大

 マット上に全員集まり、数人の選手と須藤監督の寸劇が行われ、観客の目を奪った。「みんなでひとつになってやる。青春ですよ。もちろん勝つことが一番ですが、勝つと同じくらい、楽しむことを教えたいですね。楽しむことで強くなって、それが勝つことにつながると思います」と、須藤流の指導で選手はのびのび試合できた。

 今回欠けた2選手も、夏以降の大会には治って復帰できる見込み。万全の状態で団体戦の残り2大会(全日本大学グレコローマン選手権、全日本大学選手権)を「しっかり取りにいきます」-。

 強く、面白く、カッコ良く-。拓大流のレスリングで残りの大会に懸ける。