※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
《一部Bグループ》
■出場チーム=拓大、日大、国士舘大、青山学院大、明大、大東大、群馬大、東農大
■自覚出てきた最上級を軸に3年ぶりの優勝を目指す拓大
拓大軽量級の要、鈴木康寛
学生界で無敵だった高谷の抜けた穴は大きいかもしれないが、高谷の影に隠れて目立たない存在だった小森大祐(全日本学生選手権グレコローマン3位)がフリースタイルでも急成長。西口茂樹部長が「自覚を持つと、こんなにも成長するものか」と驚くほど力をつけており、高谷のいなくなった穴は十分に埋められると期待している。
軽量級の柱は、全日本学生選手権60kg級2位の鈴木康寛。2010年世界ジュニア選手権で3位入賞の実力を持ち、チームを活性化させるべき存在。昨年の全日本大学選手権では、日大1年生の池田智に不覚を喫してしまった。同ブロックに日大がおり、再戦もありうる。リベンジを果たすことが、拓大勝利の道だろう。
昨年の世界ジュニア選手権66kg級代表の岩渕尚紀がどこまで実力を伸ばしているか。120kg級全日本大学王者の村木孝太郎が病気によって出場できない可能性もあるようなので、鈴木、岩渕、小森の軽中量級で確実に3勝をマークしたいところだ。
もっとも、村木がいなくとも西口部長は「山本竜次が実力をつけている。小森と同じで、最上級生になり、自分がやらねば、という気持ちになって頼もしい存在になっている」と期待。3年ぶりの優勝を目指している。
■重量級の3階級が磐石の日大
昨年11月の全日本大学選手権60kg級で池田智が1年生王者に輝き、今年もJOCジュニアオリンピックで勝って世界ジュニア選手権への出場を決めている。上級生が刺激されているのが日大だ。
日大の力強い“トリ”、岡倫之
山本は高校3年生だった昨年のJOCジュニアオリンピックで大学選手を連破して優勝。今年2連覇するなど実力を発揮している。富山英明監督は「山本はポイントゲッターとして期待している。3-3で120kg級勝負となっても、岡が勝ってくれる」と信頼をおく。84kg級を迎えるまでに1勝を挙げていればチームの勝利はかなり高くなるだろう。
もちろん、勝負の世界は何があるか分からないので、池田のほか、2010年全日本学生選手権55kg級2位の矢後匡平、昨年の大会で6勝をマークしている74kg級の小山内大輝が頑張って2勝、3勝を挙げて重量級へつなげたいところ。
富山監督は「どの大学も戦力がそろっている。面白いリーグ戦になるよ」と、熱戦を予想した。
■昨年1位チームに土をつけながら3位となった屈辱を晴らしたい国士舘大
2000年シドニー五輪後、全日本男子の専任コーチを務めた和田貴広氏が、2008年北京五輪後からコーチとして本格的に国士館大の指導にあたり、今年で4年目。在学生すべてが和田コーチの真の教え子となった。
和田コーチは「けが人もなく、順調と言えば順調。主将の葈澤謙(74kg級)はリーダーシップがあり、チームをよくまとめている」と、リーグ戦へ手ごたえを感じている。葈澤主将を核に、副主将の66kg級・安藤達也、55kg級・入江真司ら4年生の結束力は和田コーチも太鼓判。
国士舘復活をになう葈澤謙主将(左)とJOCジュニア王者の嶋田大育
優勝まで手が届かなかった原因は「下位チームとの勝率の差」と和田コーチ。拓大や専大が下位2チームに7-0か6-1で圧勝したのに対し、国士館大は4-3、5-2と星を落としていたことが響いてしまった。和田コーチは「リーグ戦は何が起こるか分からない。いい薬になった。今回は同じようなことにならないようにしたい」と気を引き締める。今年は初戦からトップメンバーで戦い、7戦全勝はもちろん、内容にもこだわった試合を目指す。
和田コーチは4年前までナショナルチームのコーチとして、選手を世界一にするのが仕事だった。それが学生の指導に切り替わり、当初は戸惑うこともあった。「ナショナルチームの選手と、高校を出たばかりで初心者に近い学生とでは意識が全く違って当たり前」と自分に言い聞かせ、試行錯誤しながらこの3年間をやってきた。「選手をどれだけ本気にさせるか」を課題に挙げて指導に取り組み、3年目でリーグ戦で6勝1敗という好成績。それだけに今年への期待は高まる。
「チームのみんなが自発的に練習に取り組んでいる。結果はやってみないと分からないけど、チームの練習を見ていて頼もしい」と和田コーチ。練習どおりの力を出せれば、国士舘の時代が来るかもしれない。