2012.04.14

カザフスタンのジュニア&カデット選手が全日本合宿に参加

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

日本チームの前であいさつするカザフスタン・チーム

 4月13日から始まった全日本女子チームの合宿(東京・味の素トレーニングセンター)にカザフスタンのカデット3選手、ジュニア4選手が参加した。チームは4月9日に来日し、東京・安部学院高ほかで練習していたが、この日から全日本合宿に合流。21~22日のJOC杯(神奈川・横浜文化体育館)を見学するなどして30日に帰国する。

 ブラト・ヌルムカムベトフ監督は「昨年の世界選手権で日本は3階級で優勝し、女子レスリングの世界のリーダーです。どんな練習をしているのか、ぜひ見たいと思いました」と遠征の目的を話し、この日からの全日本合宿が楽しみな様子。

 カザフスタンの女子は、1993年にジュニアとシニアの世界女子選手権に出場し、ソ連から独立した直後に取り組んでいたが、実力的には世界トップには程遠かった。2003年のアジア選手権72kg級でスベトラーナ・シェビチナゾフが世界と大陸の選手権で初めてチャンピオンに輝いたが、2004年のアテネ五輪出場はなし。

 2006年世界ジュニア選手権63kg級でイェレナ・シャリギナが2位となって、ようやく世界のトップが見え、2007年の世界選手権ではロシアから国籍を変えた選手も含めて「銀1・銅2」を獲得。2008年北京五輪でもシャリギナが銅メダルを取り、世界トップの一角を占めるようになった。

ブラト・ヌルムカムベトフ監督と娘であり心理理学者のメディナさん

 女子の競技人口はカデットからシニアで約150人。国土が広いため、国全体からトップ選手が集まって練習することがなかなかできないという。今回の五輪アジア予選があった首都のアスタナと以前の首都のアルマトイ(道路で約1400km=道路で東京~鹿児島に匹敵)の選手が一緒に練習する機会はほとんどなく、「それが大きな問題です」(ヌルムカムベトフ監督)という。

 ただ、男子も強い国だけに、男子との練習で実力を上げているという面もあるという。自分のいる地域で同レベルの実力を持った女子選手がおらず、スパーリングはほとんど男子選手とやる選手もいるそうで、多くの女子選手と練習できる今回の遠征は貴重な経験になりそうだ。

 カザフスタンは5月26~27日に東京で行われる女子ワールドカップには参加できないが、その直前にはシニア・チームが来日し、日本の胸を借りてロンドン五輪での勝利を目指すという。ヌルムカムベトフ監督は「ジルジ・イゴシナ(48kg級)、イェレナ・シャリギナ(63kg級)、グゼル・マニュロバ(72kg級)の中から金メダルを取ることを期待しています」と話し、同国女子レスリングの発展を誓った。

日本選手と闘うカザフスタン選手

練習後は箒(ほうき)を持ってマット清掃。講師は浜口選手(左端)