2012.04.01

【五輪アジア予選第2日】出場選手コメント

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

イラン、カザフスタンなどの押さえ、日の丸がメーンへ

 男子グレコローマン55kg級・長谷川恒平(福一漁業) (準決勝のあと)「去年の9月の世界選手権で出場枠を『取れる』と言われながら、取れなかった。忘れ物を取り戻したような気持ちです。

 去年の世界選手権はグレコローマンが不振で、フリースタイルが好調。協会のホームページに「雨のち晴れだった全日本チーム」と書かれ、悔しい思いをしてきました。この半年間、ずっとその悔しさを持っていました。グレコローマンの選手はみんな、書いた人を見返してやろうと思って頑張ってきました。

 決勝で闘うスーリヤン(イラン)とは、オリンピックででも闘うことが予想されるので、気合を入れていきたい。出場枠を取って2位というのより、優勝した方が形になる。出場枠を取ってホッとしている気持ちはない。自分の技術のすべてを出して、アジア大会の時と同じように勝ちたい。

 アジア選手権で優勝した選手もいて、楽な相手はいない大会でした。でも、スタンド、グラウンドともに技を試すことができた」

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 (決勝でスーリヤンを破ったあと)「4年前の予選でスーリヤンに敗れ、オリンピックに出られなかった苦い思いがある。これで4年前と違うところを示せたと思います。ずっと研究してきた相手。問題なく勝てたと言えば、勝てました。練習通りのものが出ました。

 アジア大会に勝った時は、周りから『勝っちゃったね』って言われました。今回は『勝ったね』と言われたので、周囲からも実力を認められたんだと思います。

 出場枠を取ったあとの試合でしたが、優勝するつもりで臨んだ大会なので、気は抜けなかった。スーリヤンが必死にウォーミングアップしていたので、これは本気でくるな、と思って気合が入りました。オリンピック前に試合をするのは、これが最後と思ったことも、全力で挑めた要因でした」


 男子グレコローマン60kg級・松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)「世界選手権で出場枠を取れず、コーチほか多くの人の期待を裏切ることになってしまった。ここで取れてよかったと思います。

 出場が6人と少なかったのですが、初戦で闘った相手以外は弱い選手はいなかったので、気を抜けない闘いでした。予想通りアリポフ(ウズベキスタン)が出場枠を取る最後の壁になりました。まだ勝ったことのない相手。ベテランですから、体力勝負になれば勝てると信じていた。結果としてその通りになった。

 (1分30秒の時点でポイントがあればグラウンドなしの)新ルールは、やはり自分にはプラスです。2分間スタンドでやった方が、相手は間違いなくばててくれます。

 まだスタートラインに立ったところ。ここからが勝負です。あと数カ月、死に物狂いで練習することでメダルに近づけると思う。1日、1日を大事にしたい。

 (前日、出場枠を逃したフリースタイル84kg級の弟のことを聞かれ)そのために自分が頑張ろう、という気持ちよより、フリースタイルで2階級取ってくれたことが刺激になりました。次は弟に取らせます」


伊藤監督の見守る中、出場枠獲得の勝ち名乗りを受ける

 男子グレコローマン66kg級・藤村義(自衛隊)「まだ実感がない。グラウンドのデフェンスがよかったのが勝因です。(喜びを表に出ていないことを指摘され)いえ、うれしいです。喜んでいます(笑)。感情はあまり外に出す必要ないかな、って思っていますので…。

 準決勝の相手は北京五輪の銀メダリストで、日本に来たことがあって、その時はまったく太刀打ちできなかった相手です。(後のない第2ピリオドのラスト5秒でローリングを決めて)あそこが勝負どころでした。返さなければ負けた。極めるところを極めていたので、絶対に返せると思っていました。練習してきたことがうまくできました。

 第3ピリオドのグラウンドの選択は、迷いました。まだ余力があったので、攻撃の方がいいと思いましたが、(自分が選択する前から)相手が防御の姿勢をとったので、それなら攻撃させてやろうかな、と。結果として防御でよかったです。

 2011年はけがの治療に専念して、国際大会にはまったく出ていません。でも、それがあって、今があるんだと思っています。けがはしない方がいいのですが、したらしたで、それをばねにしてやっていけるものなんですね。精神的に強くなったというか、以前より落ち着いて試合ができるようになりましたからね。

(徳山大出身選手初の五輪代表選手について)多くの先生方のおかげで決めることができました。オリンピックでいい結果を残すことで、刺激になってくれると思います」


 男子グレコローマン74kg級・鶴巻宰(自衛隊)「情けない、という言葉以外は何も出ません。日本代表というのが恥ずかしい試合をしてしまった。どうやって気持ちを切り替えればいいのか…。

 初戦はスタンドで取れればよかったのに、逆にスタンドで取られて、自信がなくなったというか、最悪の形で次に向かうことになった。

 (3位決定戦で北京五輪2位を破ったが)相手はあまり気持ちが乗っていなかったみたいです。たまたま勝てただけであって、収穫にはならないです。グラウンドでしっかり組む練習して、次に臨みたい」


 男子グレコローマン84kg級・天野雅之(中大職)「体調よく大会に臨めましたが、試合の流れの中で自分のやりかいことができなかった。第1ピリオドの0-0はある程度予想していた。グラウンドの攻撃でポイントを取るつもりだったけれど、切られてポイントを取れず、少し焦ってしまった。

 仕事との両立は自分が選んだ道。その中でできる限りのことをやってきたけれど、結果が出せなかったということは足りないものがあったのかな、と思います。

 日本代表として初めて出る正規の大会になります。変わらないように臨んだつもりですが、少しは影響があったのかもしれない。まだ終わったわけではなく、次の予選があります。『1ヶ月しかない』ではなく、『1ヶ月もある』と考え、足りない部分をこの1ヶ月ですべて補うという気持ちで臨みたい」


 男子フリースタイル120kg級・荒木田進謙(専大クラブ)「韓国に勝てば、世界のトップレベルの選手と闘うことができた。悔いが残る。以前闘ってボコボコにやられた相手なので、その時の気持ちが少しありました。『くっつけ』というコーチの指示をできなかったことが敗因です。

 帰国してから、ビデオを見て何をやるべきかをしっかり研究し、次に向けて頑張りたい」