2012.03.31

【五輪アジア予選・第1日】湯元進一(自衛隊)と高谷惣亮(拓大)が五輪出場枠獲得

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

準決勝に勝って五輪出場枠を獲得した湯元進一(上)と高谷惣亮

 【アスタナ(カザフスタン)】今夏のロンドン五輪の出場枠獲得をかけた五輪予選第2ステージ「アジア予選」は3月30日、カザフスタン・アスタナで開幕。男子フリースタイル6階級が行われ、4階級に出場した日本は55kg級の湯元進一(自衛隊)と74kg級の高谷惣亮(拓大)の2選手が決勝に残り、五輪出場枠を獲得。日本協会の定めた規定により、五輪の日本代表を決めた。

 日本はすでに出場枠を取っている60、66kg級に続き、フリースタイルで4階級の五輪出場を確保。前回の北京大会の3階級を上回った。

 湯元は、1回戦で昨年のアジア選手権3位のリー・ウーユ(韓国)を2ピリオドともクリンチにもつれながらともに取り、2-0で勝利。2回戦もタジギスタン選手を破り、準決勝で2010年アジア大会5位のチョグトバータル・ダムディンバザール(モンゴル)を2-0で破り、五輪出場枠を取った。決勝は、痛めていた右股関節の悪化により、開始直後に棄権した。

 高谷は初戦の2回戦で2010年アジア大会3位のリー・ユンセオク(韓国)にフォール勝ち。続く準決勝で同アジア大会で同じ3位のドルジバーンチグ・ゴンモドルジ(モンゴル)に第1ピリオドを取られながらも2-1と逆転勝ちし、五輪出場枠を手中にした。決勝は昨年アジア選手権優勝&世界選手権7位のラシド・クルバノフ(ウズベキスタン)に1-2で敗れ、2位に終わった。

 84kg級の松本篤史(ALSOK)と96kg級の磯川孝生(徳山大職)はともに5位に終わり、五輪出場枠には手が届かなかった。

 松本は初戦(2回戦)を勝ったものの、準決勝で2009年世界選手権優勝のザウルベク・ソキエフ(ウズベキスタン)に0-2で敗れた。3位決定戦ではモンゴル選手を破って銅メダル獲得。

 磯川は初戦で昨年のアジア選手権優勝のクルバン・クルバノフ(ウズベキスタン)に0-2で敗れ、出場選手数の関係で、敗者復活戦なしで3位決定戦へ。今年のアジア選手権優勝のマゴメド・ムサエフ(キルギス)に1-2で敗れた。

 各選手の成績は下記の通り。


 ◎男子フリースタイル

 【55kg級】湯元進一(自衛隊)     2位=10選手出場

1回戦 ○[2-0(1-0=2:03,3-0=2:07)]Lee Woo-Ju(韓国)

 《試合経過》湯元はけがの影響か、慎重な闘いぶり。相手の攻撃を許さない代わりに攻撃も仕掛けず、第1、2ピリオドとも0-0。第1ピリオドは自らボールを引いて、第2ピリオドは相手がボールを引いて、いずれも攻撃権を獲得。テークダウンをしっかり決め、2-0で勝った。

2回戦 ○[2-0(1-0,3-0)]Nikolay Noev(タジギスタン)

 《試合経過》湯元は第1ピリオドの1分15秒、相手の左脚へタックルを決めて1-0。第2ピリオドは中盤に右脚へのタックルをしつこく決め、アンクルホールドへ移行して3-0。終了間際に無理せずに1点をやり、3-1で勝った。

準決勝 ○[2-0(1-0,6-1)]Tsogtbaatar Damdinbazar(モンゴル)

 《試合経過》第1ピリオドの1分すぎ、湯元が相手の右足へのタックルをしつこく決めて貴重な1点を獲得。第2ピリオド、相手のタックルで押し出されて0-1。回り込んでテークダウンを決めて1-1。さらに1点を加えたあと、

決勝 ●[途中棄権、1P0:05(0-0)]Amit kumar(インド)

 《試合経過》準決勝までで右股関節の負傷を悪化させた湯元は、組み合った瞬間に棄権を申し出た。


 【74kg級】高谷惣亮(拓大)     2位=12選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ○[フォール、1P1:49(F5-0)]Lee Yun-Seok(韓国)

 《試合経過》高谷が第1ピリオドの中盤、がぶりからのアンクルピックで1点を先取。ローリングで2点を追加。がぶりから相手をひっくり返してそのままフォールを決めた。

準決勝 ○[2-1(3-5,4-0,4-1)]Gombodorj Dorvvaanchig(モンゴル)

 《試合経過》第1ピリオド、高谷は正面タックルにいくが、がぶり返しで2点を失う。乗って2点を返したものの、ローリングを狙ってバランスを崩し、あわやフォール負けに追い込まれるが、辛うじて耐えバックへ。しかしスコアは3-5。第2ピリオドは中盤すぎにタックルとネルソンによるグラウンド攻撃で3-0。

 第3ピリオドは27秒、もつれて押し出されて1失点。中盤、バックを取ってテークダウンを奪って2点。モンゴル陣営がチャレンジしたが、認められず、スコアは3-1とリード。終了間際にもタックルを決め、4-1とした。

決勝 ●[1-2(0-1,2-1,0-2)]Rashid Kurbanov(ウズベキスタン)

 《試合経過》第1ピリオドは0-0で進み、1分40秒、高谷はタックルを受けてしまって1失点。第2ピリオド、開始早々に高谷が押し出して1点を取り、中盤にもタックルを決めて2-0。1分30秒に足払いを決められて1点を失ったが2-1。

 第3ピリオド、グラウンド状態で足の取り合いとなり、高谷が粘り負けて1失点。1分20秒、相手の目突きを受けた高谷が場外へ。審判団は反則を取らず、0-2で敗れた。 


 【84kg級】松本篤史(ALSOK)     3位=11選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ○[フォール、2P0:58(①-1、F2-0)]Aibek Usupov(キルギス)

 《試合経過》第1ピリオドの1分19秒、松本が脇をくぐられてタックルを受け1失点。すぐにタックルで場外へ押し倒して1-1へ。ラストポイントでこのピリオドを先取。第2ピリオド。頭をつけてくる相手に対し、松本はテークがぶりからひねってテークダウンを取り、そのままフォール勝ち。

準決勝 ●[2-0(0-1=2:03,2-3)]Zaurbek Sokhiev(ウズベキスタン)

 《試合経過》第1ピリオドは0-0。クリンチの防御となった松本は、抱え上げられてテークダウンを奪われた。第2ピリオドは中盤、松本がバックを取りかけ、後方に倒そうとしたが、逆に乗られて3失点。その後、追い上げたが2-3で終了。 

3位決定戦 ○[2-1(TF0-6=0:32,①-1,3-2)]Uitumen Orgdool(モンゴル)

 《試合経過》松本は第1ピリオド、倒されて3失点。グラウンド攻撃であっという間に0-6とされた。第2ピリオドも22秒で1失点。しかし中盤に相手を押し出して1-1。ラストポイントでこのピリオドを取った。

 第3ピリオド、11秒にバックを取られて先制された松本は、36秒に場外へ出して1-1。その後、1点を取り合って2-2のあと、1分39秒に押し出して3-2とした。 


 【96kg級】磯川孝生(徳山大職)      5位=8選手出場

1回戦 ●[0-2(0-2,0-1)]Kurban Kurbanov (ウズベキスタン)

 《試合経過》第1ピリオドは0-0。磯川の攻撃権のクリンチは、テークダウンしたかに見えたが無得点。日本陣営はチャレンジしたが認められず、このピリオドは0-2。第2ピリオド、0-0のあと1分40秒、痛恨のタックルを受けてしまって0-1とされた。

3位決定戦 ●[1-2(1-0,0-4,0-2)]Magomed Musaev(キルギス)

 《試合経過》第1ピリオドは0-0。磯川の攻撃となったクリンチで場外へ押し出してこのピリオドを先制。第2ピリオドは後半、磯川はタックルを受けてローリングで0-3.終了間際、がぶって足払いで相手を崩したが無得点。日本陣営のチャレンジは認められず0-4へ。第3ピリオドは0-0で試合が進んだ後、1分45秒すぎにタックルを受け、終了間際にも1点を取られた。