2012.03.22

【特集】五輪へ最後の挑戦! レスリング人生をかけて浜口京子(ジャパンビバレッジ)がアジア予選へ挑む

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文=増渕由気子)

 ロンドン五輪の大陸予選となるアジア予選(3月30日~4月1日、カザフスタン・アスタナ)まであと10日となった。女子は実施される4階級中、出場枠を獲得していないのは72kg級のみ。五輪の全階級出場、そして全階級金メダルをかけて浜口京子(ジャパンビバレッジ)がアジア予選に出場し、自身にとっては3度目の五輪へ挑戦する。

■家族や周囲の励ましで世界選手権のつまずきを乗り越える

 3月20日は女子の全日本宿が報道陣に公開され、トレーニングに励む浜口の姿が見られた。浜口は「アジア予選に向けて最終調整に入っています」と、動作を一つ一つ確認しながら汗を流し、4月1日の本番では、「確実に勝つレスリングをしたい」と抱負を語った。

【上】北京五輪で王嬌と闘う浜口、【下】2008年アジア選手権で伊調馨が闘ったオドチメグ・バドラク

 一見すると、昨年9月からの半年間、順調にレスリングに取り組んできたように見えるが、この6ヶ月間、浜口の気持ちは大きく揺れていた。

 「世界選手権が終わって、(初戦で敗退し)やる気もなくなってしまったし、落ち込んだ。12月の天皇杯(全日本選手権)に出て、優勝し、自分でもよく立ち直ったと思う」と振り返り、五輪第1次予選である世界選手権のつまずきは、浜口に予想以上のダメージを与えていた。

 家族や周囲の励ましで、全日本選手権は内容もよく、15度目のチャンピオンになったことで、ようやく浜口の傷は癒えた。年明けからは、「順調に来ました」と、アジア予選に向けて、しっかりを気持ちの切り替えを計った。この1ヶ月は、根詰めて練習を積み、「練習付けの自分を信じます」と言い切った。

■チーム総出で浜口をサポート

 世界選手権では、予想通りスタンカ・ズラテバ(ブルガリア)が優勝するなど、強豪選手が上位へ入った。しかしアジア勢はグレル・マニュロバ(カザフスタン)が抜けたのみで、2008年北京五輪を制した中国、近年急成長を見せるモンゴルは上位に食い込めず、浜口同様、アジア予選での権利獲得を目指すことになった。

 気になる国を聞くと、浜口は「中国とモンゴル」と即答。中国の王嬌は北京五輪からのライバルだが、モンゴルのオドチメグ・バドラクは、北京五輪以前は63㎏級の選手で、2010年まで67㎏級で、昨年から72㎏級に上げてきた選手。しかし、昨年のアジア選手権で3位。今年のアジア選手権で2位と頭角を表している。

全日本合宿で予選前最後の練習に汗を流す浜口

 「私もオチルバトと闘ったことがある」と話す伊調馨(ALSOK)も、自身の経験を浜口に伝えたそうで、日本チーム総出で浜口の出場を応援している状態だ。

■残りの予選2大会は眼中になく、カザフスタンに全神経を集中

 アジア予選が終わると、1ヶ月後には世界最終予選が2つ残されているが、浜口は「今は4月1日に自分のコンディションを最高に持っていき、優勝することに絞っている」と、その後の予選で決める意思は全くなく、目の前のカザフスタン大会だけに集中している。「私にとって、最後のオリンピックへのチャレンジなので、ラストスパートで闘いたい」―。

 浜口の3度目の五輪は、カザフスタンで決められるか-。