※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子) いなべクラブの選手たち。後列右が弓矢コーチ。
昨年の出場者はわずか2人にとどまったが、今大会は男女合わせて17人がエントリーし、いなべの選手がマットに立つと、コーチや父兄、チームメートなどがセコンド周辺に集合。大きな声援で選手に力を与えた。
■インターハイV3の先輩、高橋侑希効果で入部選手が増加
今大会、藤波監督に代わってチームを率いたのが弓矢完二コーチだ。三重県出身で、いなべ総合の前身である員弁高校から日体大に進み、大学3~4年(1995・96年)に全日本学生選手権グレコローマン57㎏級で2連覇したキャリアを持つ。
卒業後、3年間は員弁高校で体育の講師を務め、レスリングも教えていた。今は仕事のかたわら、いなべクラブの小学生部門のコーチとして、週3回、30人もの子供たちを教えている。
インターハイ3連覇の高橋侑希は、地元のメディアに大きく取り上げられ、かなり知名度があるという。その影響で、小学生の生徒たちが「高橋先輩のようになりたい」と、気合を入れて練習に取り組むようになったり、高橋に憧れてクラブの入門者が増えたりしたそうだ。
弓矢コーチも「高橋をはじめ、いなべの中学、高校は全国で優勝している選手がたくさんいるので、小学生の子供たちも目標を持ってレスリング取り組むようになり、前向きになった」と、幼年、小学校、中学校、高校と4部門に相乗効果が生まれているそうだ。
1996年全日本大学グレコローマン選手権・団体優勝の日体大。後列右から3人目が57kg級優勝の弓矢コーチ。
相乗効果を生ませる最大の要因がある。弓矢コーチは「日曜日は、保育園から小学校、中学、高校まで全員が同じマットで一緒に練習します。小学生も、あの高橋に相手してもらうんですよ」。週3回の練習のうち1度は全国タイトルを持ったお兄さんたちなど格上の選手と手合わせしてもらうことで、自然に自分の意識を高めるようになっている。
今後の飛躍に向けて、弓矢コーチが目標を掲げた。「昨年は、1人が7月の全国少年少女大会で優勝しました。来年は2人チャンピオンになれるように。そして毎年チャンピオンを出したいですね」。
中学、高校に続き、小学生部門でも、いなべ旋風が吹き荒れるのは、そう遠くない未来になりそうだ。