2012.01.26

男子グレコローマンの全日本チームが欧州遠征へ出発

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文・撮影=保高幸子)

 ロンドン五輪の出場枠獲得を目指す男子グレコローマンの5選手が1月25日、今年最初にして、五輪アジア予選(3月30日~4月1日、カザフスタン)前最後の海外遠征として成田空港発のトルコ航空でイスタンブールへ向けて出発した。

 28~29日にイスタンブールで行われる「ベービ・エムレ国際大会」に出場し、ハンガリーへ移動して欧州選手と合同練習。そのあと、11~12日にソンバトヘイで行われる「ハンガリー・グランプリ」へ出場するが、55kg級の長谷川恒平(福一漁業)と60kg級の松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)は、ハンガリーでの合宿のあと大会には出場せず、一足早い8日に帰国する。

 伊藤広道監督(自衛隊)は「ルールが変わって初めての国際大会で、それを経験するのが今回の遠征の大きな目的。新ルールへの対応策を海外の選手がどうやってくるかをよく見て、カザフスタンでどう闘うのがいいかを研究したい」と遠征の目的を話した。

 長谷川と松本がハンガリーの大会に出場しないのは、トルコで試合に出て、その後に再び減量するとなれば、合宿での練習が思い切りできないため。選手の要望とコーチとしての考えを加え、このような選択となったという。

 74kg級の鶴巻宰(自衛隊)はトルコでは大会に出場せずに練習に集中し、ハンガリーの合宿と大会に参加する。ハンガリーでは一つ上の84kg級に出場する。伊藤監督は「合宿でも有意義な練習ができるだろう。ハンガリーには昨年74kg級欧州2位でゴールデンGP決勝大会優勝のペーター・バシ選手がおり、他の階級にも世界の上位選手も多く参加する。そういった選手と練習できるのが欧州遠征。必ずいい経験になる」と話した。

 長谷川は「今月の合宿でやったことと去年の世界選手権の反省をふまえて、やってきたことが出せればいいと思う。リフトなど瞬発系の技は日本では経験できないので実践でタイミングを学んできたい。新ルールとなっても、スタンドでとりにいくことは今までと変わらない。周りを見ながら自分のスタイルを変えず、しっかり練習してこようと思う」と、遠征の目的を定めた。

 鶴巻は2010年11月のアジア大会(中国)以来1年2ヶ月ぶりの国際大会となるものの、「(国際大会出場の)特別な思いはない。84kg級に出場するので減量がなく、思い切り練習できると思う。けがのないよう、でも思い切って、外国のトップ選手と練習してきたい。新ルールと言っても、ポイントがある場合にグラウンドがなくなるというだけなので、練習内容を変えたわけではない。でも外国の選手がどうやってくるか、やってみないとわからないので早く試合をしてみたいです」と力をこめた。

 遠征メンバーは下記の通り。66kg級の藤村義(自衛隊)と120kg級の新庄寛和(自衛隊)は国内での練習に集中するため参加しなかった。


【監 督】伊藤広道(自衛隊)

【コーチ】元木康年(自衛隊)

【トレーナー】川崎淳(ハンズコーポレーション)

【帯同審判】藤本賢一(奈良・二階堂高教)

【選手】
 ▼55kg級 長谷川恒平(福一漁業)
 ▼60kg級 松本隆太郎(群馬ヤクルト販売)
 ▼74kg級 鶴巻宰(自衛隊)
 ▼84kg級 天野雅之(中大職)
 ▼96kg級 斎川哲克(両毛ヤクルト販売)