2011.12.24

【全日本選手権最終日】優勝選手の声

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 ■男子グレコローマン66kg級・藤村義(自衛隊=今年の世界選手権を捨てて負傷治療に専念し、栄冠を勝ち取る)「久しぶりの66kg級出場ということで緊張しました。五輪のアジア予選を控えているので喜んでばかりもいられませんが、優勝できたのでホッとしています。今日はもっと大技を狙いたかったのですが、調整がうまくいかなかったのか、出せなかったです。負傷して悩んだ時期もありましたが、焦ることなく治療に専念して治して、国体(74kg級)で優勝できて、今回の天皇杯でも優勝できてよかったです。まだまだ反省するところもたくさんあるので、コーチの方たちのアドバイスをしっかり聞いて修正して、アジア予選へ向かいたいと思います」 


 ■男子グレコローマン84kg級・天野雅之(中大職=ライバルにして今年の世界選手権代表、岡太一を決勝で下して初優勝)「4月の全日本選抜選手権は優勝したんですけど、その後のプレーオフで岡選手に負けてしまったので、すごく中途半端な優勝でした。今日は失敗してもいいから最後まで攻めようという気持ちで試合に臨みました。体がよく動いたし、グラウンドの持ち上げも調子がよかった。仲間の声援もあって決勝では120%の力が出たと思います。これでようやくオリンピックのスタートラインに立ったばかりです。これから技をもっと研究して、精密さと力強さを伸ばしていきたい。代表になれなかった他の選手たちの分も含めてオリンピックの出場権を獲得し、メダルを獲れるようにがんばりたいです」


 ■男子フリースタイル60kg級・前田翔吾(ニューギン=激戦階級を制覇)「昨日もいろんな方から電話があって、はっきりは言わないが、湯元(健一)先輩が勝つだろうから、おまえには次の五輪もあるからという内容だった。僕はまだ諦めていないので、そういう空気を払っしょくしたかった。前までは絶対にクリンチはだめだと思っていたけど、(第2ピリオドは)自分が攻めてクリンチだったから、(もしクリンチでピリオドを落としても)第3ピリオドは取れると思った。(2009年に世界5位になりながら、部の活動停止に遭遇、その後、好成績が出せなかったが)オリンピックに出て金メダルを取るまで、そのブランクの答えは出ない。3月のプレーオフまで湯元先輩と切磋琢磨して、次はお互いに万全のコンディションで戦いたい」


 ■男子フリースタイル74kg級・高谷惣亮(拓大=66kg級から上がって来た小島豪臣を破って初優勝)「まず、ただいま、と言いたいです。4年前のこの大会で2位になって、北京五輪予選に出させていただきました。今回優勝して自信になったので、ちゃんとロンドンの切符を取ってきたいです。決勝の小島さんは、尊敬する選手であり、馬力もあって強かった。でも74㎏級のプライドもあったので、負けるわけにはいかなかった。このアジア予選で出場権を取りたい(大会5連覇中だった長島和幸選手が白血病で欠場したことについて)早く復帰することを祈っています」

 


 ■女子55kg級・吉田沙保里(ALSOK=10連覇を達成し、ロンドン五輪の日本代表に決定)「決勝でああいう試合をして情けなくて言葉がないですね。今日は何かいつもと違う感じ。腰が浮いている感じというか。相手は勢いがあるし、柔道出身で腕を取って投げたりすることも分かっていたけど、下から攻め上げるようなレスリングをされて、得意のタックルやフェイントができずに下がってしまいました。もう少し低い構えをしないといけない。減量がないのでもっと体重を増やしてパワーをつける必要も感じました。課題は残りましたけど、しっかり気持ちを入れ直してロンドンでオリンピック3連覇をできるようにがんばりたいです。(年明けに東日本大震災の被災地=岩手・宮古市=を初めて訪れる予定で)向こうの子どもたちに楽しいレスリングを教えてあげたいと思っています」


 ■女子63kg級・伊調馨(ALSOK=ロンドン五輪代表に決定)「優勝できて、とりあえずホッとしている。勝ってみて実感が沸きました。決勝戦は、まだまだ練習不足だなと思いました。もっと練習を積み重ねたい。(準決勝の)山本聖子戦はもうちょっと練習したことが出せればよかった。もっと相手が攻めてくるかなと思ったが、こなかったので、こちらから取りに行きました。今日一番反省する部分が多かった。(今年は海外で多く実戦を積んだが)試合もそうですが、練習もしたい。自分のレスリングができないときは、千春(姉)に相談に乗ってもらって、いい気分転換になっている。(五輪の3連覇は)あまり意識していない」

 


 ■女子72kg級・浜口京子(ジャパンビバレッジ=日本レスリング界史上最多となる15度目の優勝)「回数を数えたこともないので、気がついたら15回という回数になっていたという感じです。まだ信じられません。落ち着いて自分を信じて練習してきたのがよかったのかなと思っています。イスタンブールでの世界選手権が終わってから、いろいろなことを考えさせられる日々でしたが、たくさんの方のサポートがあったおかげで、自分も『がんばろう』という気持ちではい上がってこられたという感じがしています。大好きなレスリングなので、3月のアジア予選でオリンピックの出場権を獲得してきます。父からは試合前に技術的なアドバイスをもらいました。それよりも、朝からアップする時まで、ずっと一緒にいてくれたので、心強かったです。この15年間、心配や苦労ばかりをかけてしまいましたから。父も喜んでいると思います」

 ■父・アニマル浜口氏「京子、おめでとう。中学2年生の時に父と娘でひざを突き合わせて話をして、ウエートトレーニングからスタートして、全日本選手権を15回も優勝することができました。イスタンブールの世界選手権でロンドン五輪の出場権を獲得することはできませんでしたが、ロンドンでのメダル獲得を目指して、これからまた練習です。二度とない人生だから、一切の困難を乗り越えてほしいですね。日本は復興できるんです。京子、お前も一緒に言え!(親子で『気合だぁ!』10連発をやって会見をしめた)」