※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(取材・撮影=保高幸子)
姉妹で五輪出場を目指す山本美憂(左)と聖子
■ニューヨークでの大会出場で体力が戻っていることを実感
公開された練習時間は30分弱だったが、激しいスパーリングで追い込み、内容の濃いもの。途中から父の山本郁栄氏も加わり、2人に対して叱咤激励を飛ばした。日本協会の定めた日本代表決定方法により、全日本選手権では2階級とも世界選手権代表選手(48kg級=小原日登美、63kg級=伊調馨)が優勝した時点でロンドン五輪の代表に決まってしまう。姉妹は絶対に負けられない試合に向かう。
姉の美憂はカナダ・トロントを拠点に練習してきた一方、先月中旬にはニューヨーク・ホリデー国際大会(米国)に出場するなど実戦練習も積み、5日に帰国した。大会出場は「場数というか試合に慣れるため」に敢行した。「いろいろ試してみたいな。と思っているうちに1試合目で負けてしまいました。(米国式の敗者復活戦方式で)負けたあとも4試合できて、場数はふめて良かったです」と言う。
5日に帰国し、聖子と練習に励む美憂(右)
8年近くのブランクを経ての復帰で、不安材料は少なくないはずだが、父の存在は心強い限りだという。「いつも来てくれます。誰もが『美憂は勝てない』と言っている時に、『おまえは勝てる!』と言ってくれます。そう言う人がいると実力以上の力が出ます」ときっぱり。「全日本選手権は失敗が許されないので、しっかりやりたい。楽しみです」と結んだ。
■全日本選手権で勝ち、五輪を目指す夫の応援へ
復帰してから2年近くが経つ妹の聖子は、姉が復帰して一緒に練習するようになった相乗効果を口にする。「(姉は)復帰直後は100パーセントの力を出せていなかったけど、近づくにつれ上げてきているのを見て刺激になっています。以前は私をしごいていた立場ですが、今は一緒に試合に出る仲間になり、私も負けてられない!と思います。ずっと1人で試合に向かっていたので、2人になって心強いです」と話す。
姉・夫とともに五輪出場を目指す山本聖子
今は体重も戻り、64kgあるという。「体脂肪率は高くなっていないので、いい体になっていると思います。伊調対策というより、自分のいいところを出していく練習をしています」と話す。
夫(永島英明)もハンドボールで五輪を目指している真っ最中。「(五輪のことは)いつもはあまり言わないです。時々語り始めると、すごく熱いです。一緒に行こうね、と話しています」と言う。同じ時期に試合があるため、応援に来ることはできないそうだが、「私は全日本選手権で勝って、夫の試合を見に行きたいです」と力をこめた。
山本美憂(やまもと・みゆう)=白寿生科学研究所 山本聖子(やまもと・せいこ)=スポーツビズ |