※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=樋口郁夫)
伊藤織江さん(右)と谷口友香子さん
■役員として初めて岩野杯を受賞
伊藤さんが岩野杯を受賞することは、「閉会式でのビッグサプライズにするから」(西日本学連・福田耕治理事長)と固いかん口令がしかれていた。閉会式で大会の個人賞を撮影していた伊藤さんは、岩野杯の表彰選手に自分の名前を呼ばれると、「え!」と絶句し、信じられないという表情を浮かべた。選手以外でこの賞を受け取ったのは初。うるんだ瞳で賞状を受け取り、4年間の活動を締めくくった。
伊藤さんは日本文理大付高の出身。レスリングの魅力に取りつかれ、ファンとしてレスリング部を追っていた。レスリング選手の「筋肉のすごさにカッコよさを感じた」と言う。
岩野杯の受賞に驚きを隠せなかった伊藤さん
それから4年。地方の大学の委員では時間的にやる仕事が限られ、会場の後片付けもそこそこに帰途につかせてもらうこともしばしば。しかし熱心な仕事ぶりが認められ、今年は副委員長を任せられることになった。11月中旬に岐阜・中津川であった全日本大学選手権では、地元や日本協会の重鎮がずらりと並ぶ開会式の司会という大役を務め、西日本学連に欠かせない存在だ。
今年の学連は「とてもチームワークがよかったと思います。最高の学連だったんじゃないかな、と思います」と振り返る。学連委員のほか、部のブログの更新も伊藤さんの役目。練習や試合のもようを頻繁に更新している。4年間、片時もレスリングから気持ちが離れたことはない。
■就職先は大阪なので、「来年以降も来ます」
閉会式で閉会宣言をする伊藤さん
「学内でも部の代表として学友会の仕事をしたり、学園祭の実行委員になったりと、レスリング部に入ったからこそできたことが数多くありました。忙しかったけれど、内容が濃すぎるほど濃くて、とても充実した4年間がおくれました。レスリング部に感謝しています」。
卒業後は大分を離れて大阪での就職が決まっている。「来年も(大会に)来ます」と、ファンに戻り、あるいはサポーターとしてレスリングを応援していくという。また、卒業記念に今月21~23日に上京し、全日本選手権を観戦する。「楽しみなんです」と目を輝かせる。
ロンドン五輪を目指して力の限りをぶつけあう選手の激闘は、伊藤さんの心に新たな感動を植え付けてくれることだろう。
■谷口さんは今年の経験を来年に生かす!
谷口さんは学連の会計を担当。全日本大学選手権では閉会式の司会を務めた。「1年はあっという間でしたね。今年は分からないことばかり。来年はもっとスムーズにできると思います」と言う。個人戦では、大会の計量が終わってすぐにトーナメント表などを作成するのが学連の仕事であり、会計担当とはいえ、そうした仕事もこなす。そのためホテルに泊まり込んで作業をしたりと、いろんな思い出がよみがえってくるという。
大会中、試合結果を打ち込む谷口さん(右)と伊藤さん
実際に見てみると、「すごいスポーツ。筋肉が隆々の選手ばかりで」と、そのすごさに驚いた。部のムードがよかったこともあってマネジャーに定着。先輩が学連委員にいて誘われ、「私を誘った子は学連をやっていません。私だけが学連へ」と笑いながらも、「今年の経験を生かし、来年はもっとしっかりやります」と話した。