2011.12.07

【西日本学生秋季リーグ戦・特集】苦節10年! 帝塚山大が初の一部リーグ昇格

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文=樋口郁夫)

西日本学生秋季リーグ戦の二部リーグは、帝塚山大が最終の天理大戦を落としながらも内容差で優勝。創部10年目にして初めての栄冠を手にした(右写真)。

 石山直樹監督は「支えてくれた人に感謝したいという言葉しか出ません」と、まずは大学関係者や周辺の人など支援してくれた人に感謝の言葉。10月の西日本学生選手権が終わったあと、優勝も不可能ではないと思っていたそうで、「こうした気持ちで臨めたリーグ戦は、正直言って初め」とのこと。

 「一番のヤマだと思った。胃が痛くなるような思いで迎えた」という初戦の九州共立大に勝ったあと、優勝はかなり現実のものとして考えられたというが、大会前は親しい人に「1位か4位(最下位)かでしょう、ともらしていた」とも打ち明けた。

 チームを盛り上げたのは、けがから復帰した96kg級の塩地竜児。「去年のリーグ戦はけがで出られなかった分、今年にかける思いが伝わって来た」そうで、塩地を中心にチーム力をアップさせてくれたと評価。小田原杯(二部最優優選手賞)を受賞するだけの価値ある闘いをしてくれたという。

 最後の試合に負けてしまい、そのあとの試合で九州共立大が大体大に6-1以上で勝てば2位になってしまう状況だった。そのため、監督にも選手にも「優勝した」という喜びはなし。選手は天理大に負けたあと泣いていたそうで、石山監督は「4年生は最後の試合を飾れなかった悔しさで、下級生は4年生に最後の試合に勝利を贈れなかった悔しさで泣いていたのだと思う」と話す。

■時間はかかっても、一部に定着できるチームづくりへ

 しかし、これこそが石山監督の求めていたもの。「勝っても負けても、最後の試合が終わったあと、全員が泣けるよう全力を出し切って闘え」と教えてきたという。「部員はその教えをしっかりやってくれました」と、優勝もさることながら持っている力を振り絞って闘ってくれたことに満足そう。

表彰式で優勝カップほかを受け取る選手

 この優勝で、来季は初めて一部リーグで闘うことになる。西日本学生のリーグ戦には入れ替え戦というものはなく、最下位になれば自動的に二部リーグに落ちる。よほど強化しなければ、すぐに二部リーグへ逆戻りとなってしまう厳しさがある。

 石山監督は「一部の選手の力を見る限り、(一部と二部を)行ったり来たりはあるかもしれない」と現実を見つめつつ、「10年かけて二部で優勝できるようになった。時間はかかっても、一部に定着できるようなチームづくりを目指します」と、付け焼き刃の強化ではない土台のしっかりしたチームづくりを宣言。

 今春一部に復帰し、6位になって残留を決めた桃山学院大の川久保清部長に祝福され、「後に続きます」と言わんばかりの表情を浮かべた。来季以降の活躍が期待される。