※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
3度宙を舞った守田監督の体
2006年秋季以来10季ぶりの優勝。真っ先に胴上げを受けた守田武史監督は「最高に気持ちよかった。みんな(猛練習に)ついてきてくれたのだから、高々に舞わせてもらいました」と、感激の面持ちで久しぶりの栄冠を振り返った。
■高校時代に無名の選手ばかりのチームで優勝へ
3年生を中心にして臨んだ大会だった。「高校時代に無名の選手ばかり」だそうで、守田監督は、こうした大舞台で力を発揮するまでに成長してくれたことがうれしい様子。特に福岡大との決勝で、“王手”をかけた後にマットに上がった高木瑛史が、3-0、0-3からの第3ピリオドに死力を振り絞って闘い、勝利をものにした試合を評価。「最優秀選手にふさわしい闘いでした」と褒め称えた。
前回の優勝のあとは4度連続で決勝に進んだが、いずれも立命館大に敗れた。磯川孝生コーチを招いて強化し、1シーズンおいて決勝に進んだものの、新興の日本文理大に敗れてしまった。
その後の3シーズンは決勝に残れない成績。「優勝までの道が遠かった。3位はキープしていましたけどね…。我慢の時かな、と自分に言い聞かせていました」という言葉に実感がこもる。練習量では決して引けをとっていなかった自信はあった。「それでいて、肝心なところで勝てないのは、何かが足りないからだ」と、自問自答の日々だったという。
優勝を決めた高木選手。磯川コーチ(向こう側)は応援席へガッツポーズ
■1990年代の熱気を取り戻したい
決勝で闘った福岡大は、1990年代に西日本のトップを激しく争った相手。10年間20度のリーグ戦のうち、7度が徳山大-福岡大の決勝だった。立命館大の躍進によってその勢力図が崩れ、両大学が決勝で対戦したのは1998年春季以来27季ぶりのこと。
それを言われると、守田監督は「(福岡大とは)よくやりましたね」と懐かしそう。当時は大阪府立体育館(第2競技場)でやっており、決勝のある日は観客、レスリング部OBではなく一般のファンと言えるような観客も多く来ていたという。
「あの頃のような熱気をつくり出したい」と守田監督。そのためには西日本のレベルを上げ、オリンピックに出る選手がつくることが必要と考えている。来年のロンドン五輪には、磯川コーチのほか徳山大出身のOB、長男の守田泰弘選手(山口県協会=日体大卒)らに五輪出場のチャンスがある。上昇ムードに乗って栄冠を勝ち取りたいところ。休む間もなく全日本選手権での闘いが始まる。