※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=増渕由気子)
全国社会人オープン選手権で優勝した板倉(左)と河野
■現役世界王者を破ったこともある板倉史也
66kg級の板倉は、在学中の2006・07年に全日本大学グレコローマン選手権で2連覇を達成。2007年2月のデーブ・シュルツ国際大会(米国)では現役の世界王者を破る殊勲も達成。同年9月には地元・秋田で国体が行われ、成年の主力選手として出場し準優勝とシニアの大会でも上位に食い込んだ。
大学卒業後もレスリングを続けるために、1年間はコーチとして大学に残り、その後、現在の企業にレスリング競技を続けることを前提に就職したが、研修などの名目で1年ほど仕事中心の生活を送ることになってしまう。その後、仕事と両立が前提ではあるものの、週に2、3日ほどは練習が認められるようになった。
決勝でがぶり返しを見せた板倉
今大会は、「スタンドでポイントを取りにいくより、取らせないようにした」と、得意のグラウンド勝負につなげるスタンドを展開。これが功を奏して、大技が次々とかかって優勝を手にした。
今大会の優勝をきっかけに、再び全日本のトップ選手の仲間入りを果たしたいところ。グレコローマン66㎏級は昨年アジア大会銅メダルの藤村義(自衛隊)をはじめ層が厚い。板倉は「藤村さんには勝ったことがないが、他の選手は勝ったことがある選手ばかり。自信のあるグラウンド勝負に持ちこんで、12月の全日本選手権で勝負したい」と力強く語った。
■鈴鹿国際大で指導のかたわら、2021年三重国体での活躍を目指す河野隆太
1回戦、決勝ともフォール勝ちの河野
練習相手のいる都内から、地元に戻っても河野の強さに変化はない。その秘密は、今年4月の全日本選抜選手権96㎏級で繰り上げながら優勝し、同級の世界選手権プレーオフにも出場した森保弘(三重・朝明高講師)と十分な練習を積んでいるからだ。「目標は、憧れの森先輩とともに2人そろって全日本選手権で優勝することです。そして2021年の三重国体で有終の美を飾れるように頑張ります」と気合を入れている。