2011.11.14

【全日本大学選手権・特集】最優秀監督賞・須藤元気監督(拓大)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文=樋口郁夫)

全日本大学選手権の大学対抗得点は、初日はトップを走っていた日体大が最終日に後退。拓大と早大が激しく争い、120kg級決勝の村木孝太郎(拓大)-前川勝利(早大)の勝った方のチームが優勝という“ドラマ”となった。結果は村木が勝ち、拓大に3年連続の優勝をもたらした。

 拓大は、昨年は団体戦の三冠を取ったが、今年は東日本学生リーグ戦、全日本大学グレコローマン選手権ともに2位(全日本学生王座決定戦は休止)。最後に勝利の美酒を味わった。1年ぶりに優勝を経験した須藤元気監督は「今年は優勝がなかった。最後の大会で優勝できてよかった。しかも最後の試合で勝てば優勝、負ければ2位という劇的な展開でしたね」と、言葉が軽やか。

 初日の全試合終了後、3年連続学生二冠王とともに4連覇を達成した高谷惣亮主将に対して、「まだ仕事が残っているよ。チームを優勝させることだよ」と声をかけたそうで、「最後の最後まで主将としてチームを引っ張ってくれた。4年間ご苦労さまと言いたい」と労をねぎらった。同時に、「次は全日本選手権であり、オリンピック出場。やってくれると思う。(五輪で)メダルも狙えると思う」と期待した。

 ここ数年間の拓大の出来からすれば、1冠というのは寂しいと思われるが、ものごとを常にポジティブ(肯定的)に考えることが大切と訴えている同監督は、「そんなことはありません。よかったです」とプラスに受け止め、「来年につながります」と言う。

 須藤監督は4年前のこの大会の数日前に指揮官に就任した。その大会は団体2位に終わったが、翌年から3年連続で優勝を達成した。極めて相性のいい大会となった。

 この大会で3連覇以上を達成したのは、日体大(6連覇2度、3連覇1度)と日大(3連覇1度)だけ。須藤監督の縁起のよさで、4連覇、5連覇と続け、歴史を塗り替えられるか。

宙に舞った須藤監督。この大会で胴上げを受けたのは初めて

須藤監督(右)と高谷惣亮主将