2011.11.13

【全日本大学選手権・特集】55kg級・桑木黎(中京学院大)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文=樋口郁夫)

地元の中京学院大から3位入賞を果たした桑木

 地元・中京学院大3年の桑木黎が55kg級で3位に入賞、地元選手の意地を見せた。1回戦で山梨学院大、2回戦で国士舘大、3位決定戦で日大と、東日本の強豪大学の選手を破っての銅メダル。3位決定戦の矢後匡平戦では、第1ピリオドを取られながらも粘って逆転勝ち。

 東高西低と言われる大学レスリング界の中で西日本の意地をも発揮したことになり、「地元で緊張がありましたが、指導を受けている監督やコーチに恩返しができ、ホッとしています」と安堵の表情を浮かべた。

 準決勝で敗れ、3位決定戦では気持ちが切れかかかっていたという。それが第1ピリオドを取られた要因だったようだが、「セコンドの若山コーチから『ここで勝たなければダメなんだ』と渇(かつ)を入れられ、気持ちを切り替えられました」と攻撃に転じた。第3ピリオドは3点技を決めて優位に立ち、最後は相手の逆転狙いのがぶり返しをつぶしてのテクニカルフォール勝ちという快勝。

 東の強豪選手を連破してのメダルに、「西日本の大学の選手は、見下されている面がある。してやったりという気持ちです」と留飲を下げた。

 それだけに、準決勝の高安直人(日体大)戦でも殊勲がほしかったところ。「やはりインカレ・チャンピオンということで意識してしまった」と気持ちで負けていたようだ。今後の課題となるだろう。

 高校時代に国体2位、昨年の西日本学生新人戦優勝という成績はあるが、全国レベルの大会での優勝はない。最終学年となる来年は、それが目標となるだろう。課題は「突っ込むばかりのタックルしかないので、高い位置からタックルを取って、高い位置で処理できるようになること」。来年、西日本からの学生王者誕生が期待される。