※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=樋口郁夫)
セコンドで選手の試合を見つめる洞口幸太コーチ。その左は洞口善幸代表
日体大時代の2008年、全日本学生選手権(インカレ)のフリースタイル60kg級優勝などの実績を残し、現在は父の経営するマイスポーツのインストラクターとしてレスリングを教えている。同時に関節技のあるレスリングのグラップリングに取り組み、今年の世界選手権に出場。ロシアとフランスの選手に勝って銅メダルを獲得した。
「前々から興味はあった。東京を離れてレスリング活動に専念できなくなり、新しい分野に挑戦してみようかと思った」というのがグラップリング転向の動機。グラップリングのコーチでもある福井クラブの白井正良代表から声をかけられたのを機に、取り組んでみた。
したがって、グラップリングのコーチに常時ついてもらっているわけではなく、日本格闘技連盟の合同合宿に参加して技術を学び、戻ってからマイスポーツの大人の選手を相手に研究するなどの練習環境。それであっても、レスリングの基礎を生かした闘い方で世界銅メダルを取った。「始めたばかりでここまでいけたのですから、本格的にやって世界チャンピオンを目指したいです」と言う。
レスリングとグラップリングの大きな違いは、仰向けになってもいいかダメかの点。レスリングでは相手が仰向けになって攻撃してくることはないが、グラップリングではそれがある。逆に、仰向けになることを体が拒否するようになっているため、かえって不利な体勢になることもある。下からの攻撃方法も知らないなど、埋めなければならない点は多いが、「レスリングを基本に、試行錯誤しながらがんばっていきたい。関節技を覚えたい」と言う。
■グラップリングで世界王者を目指す理由のひとつは、子供たちへ刺激を与えるため
グラップリングを始めた理由のひとつが、教えている子供たちへの刺激を与えるためというのもある。「どう指導するべきか、考えながらやっている段階です」と、こちらも試行錯誤の段階。かつて全国大会の団体戦(現在は廃止)で優勝を争ったこともあるマイスポーツを、もう一度全国のトップに押し上げるべく奮戦している。
大会に参加した選手たち
1週間前に静岡で行われた全日本女子オープンでは、カデット49kg級の宮田里菜と中学生37kg級の小坂泉生の2選手を優勝させた。勢いをつけたはずだったが、今回の大会は3位が1人で、満足できない結果へ。「選手の課題とともに、指導での課題も見つかったので、持ち帰って修正したい」と言う。
来年は岐阜で国体が予定され、同県のレスリング熱も高まるだろう。キッズのレスリングも盛り上がってほしいところだ。