2011.10.25

【関西少年少女選手権・特集】5~6年・基山仁太郎(四日市ジュニア)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文・撮影=樋口郁夫)

5~6年の部44kg級で優勝した基山

 10月23日に行われた押立杯関西少年少女選手権で、全国大会で2005年から7連覇した基山仁太郎(四日市ジュニア)が 5~6年の部44kg級で優勝。全国王者の実力を見せた。

 「うれしい。絶対に勝つぞ、という気持ちだった」と基山。決勝は全国大会の決勝でも闘った谷口日向(大阪・吹田市民教室)が相手で、お互いに手の内を知っていることもあってか攻めあぐみ、第2ピリオドに取った1点で勝つ内容。守ってしまった面も強かったが、「強い選手でしたから…」と言う。一方で、「スタミナがない。練習が足りない」と反省も忘れない。

 全国大会で7連覇できた原動力を聞かれると、ちょっと考えたあと、「分かりません」と苦笑い。ただ、1度勝っても、「次に出る時はまた挑戦者の気持ちになり切りました」とのことで、こうしたチャレンジャー精神がよかったようだ。“挑戦者”だったから、勝ち続けているというプレッシャーは「感じませんでした」と言う。

 レスリングをやるきっかけは、父の友達に勧められたこと。「最初は難しかったけど、勝ち進むうちに楽しくなった」とのめりこんだ。現在は、市内3ヶ所の教室に交互に参加し週6回の練習をやっている。これも「最初はきつかったけど、そのうちに慣れました」と受け入れ、実力をアップさせた。

決勝は攻めあぐんだが、ポイントをやらずに優勝(赤が基山)

 四日市ジュニアの井阪二郎監督は「無駄なポイントをやらないのが強み。すきながいレスリングをやり、タックルで攻める力もあります」と、その強さを分析。決勝はやや攻めあぐんで「消極的だった」と厳しく見ているが、本来は攻撃もすばらしい選手だという。

 幼稚園の時から光るものを感じたそうだが、「全国7連覇する選手になるとは思っていなかった」と言う。勝ち続けることで生じてくるであろう心のすきは、「父も熱心に指導しているので、芽生えなかったのだと思います」と言う。

 全国大会では負け知らずだが、2学年一緒にやる大会で上級生に負けたことがあり、5年生の時には同学年の選手に負けたこともあるという。そのあたりが、思い上がりの気持ちが芽生えなかった一因なのかもしれない。

 小学生のうちに、あと2大会出場予定だそうで、来春には中学レスリングへ参戦する。「目標は全国王者?」との問いに、基山は「いえ、オリンピックです」と即答。その目は中学王者を超えてはるか彼方に向いている。まずは来年の活躍が楽しみだ。