※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=保高幸子)
高校最後の大会を優勝で飾った雨宮
3年生の雨宮は、昨年の全国高校生グレコローマン選手権では2位の好成績を残し、1ヶ月半後の千葉国体では第1シードとなった。しかし3回戦敗退に終わった。実力には定評があり、周囲からの期待も大きかった。しかし試合で結果を残すことができなかった。
つらい1年だった。「(今年)1回戦負けしたどちらの試合も勝てる試合だったのに、メンタルで弱さが出てしまって…」と振り返る。攻めるべきところを攻められなかったという。実力があるからこそ、周りからの期待が大きくなる。雨宮はそれがプレッシャーになっていた。
高校最後の大会となる山口国体。雨宮はかけていた。「大会まで残り1ヶ月となってから、たくさんのOBに力を貸してもらいましたし、文田監督に追い込んでもらって、毎日泣きべそかくくらいやりました」と言って、笑った。
決勝で全国高校生グレコローマン王者と闘う雨宮(青)
ガッツポーズは出なかったが、勝ち名のりを受ける時には両手をあげて喜びを表した。「自分の力を全部出せたのでよかったです」。落としたピリオドは準々決勝の1つだけ。やっとで実力を見せることができた。
毎日泣くほど苦しんだからこそ、最後に笑うことができたのだろう。メンタルの弱点を乗り越えて高校生最後の大会を優勝で飾ることができた。進学する山梨学院大学では、「両スタイルでいい成績をおさめられればいいなとおもいます」と話すが、グレコローマンをメーンにやっていきたいという希望がある。実力があり、努力もできる雨宮のこれからが楽しみだ。