2011.09.18

【世界選手権第6日】男子フリースタイル96kg級・磯川孝生(徳山大職)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

実力を発揮できず、痛恨の1回戦敗退の磯川

 【イスタンブール(トルコ)、文=保高幸子、撮影=矢吹建夫】「この試合に向かうにあたって、必要な準備をしてきたつもりなんですけど、こういう結果になって…。情けないです」。男子フリースタイル96kg級の磯川孝生(徳山大職)は、そういって口をつぐんでしまった。

 目頭をおさえ、言葉が続かない。磯川の五輪挑戦の第一歩は、格下と思える南アフリカの選手に0-2で敗れて終わった。

 昨年は、強国のひとつに数えられるブルガリアの選手を破って1勝を挙げ、実力アップを証明。2ヶ月後のアジア大会(中国)では銅メダルを獲得した。自信をつけ、調子も気持ちも上がり、今回も波に乗って上位に食い込むことが期待されていた。

 しかし、この日の磯川の動きはアジア大会の時とは別人のようだった。「頭が真っ白になって…」と磯川。報道陣の「五輪前年の場の空気に飲まれた?」の問いには、「情けないですけど…」と答えた。

 試合内容はさることながら、気にしているのは周りへの恩返しということ。「ここにくるまでに職場やチームやいろんな人たちのサポートがあった。それに応えられなかった自分が情けない」と、繰り返した。

 このあと五輪予選は続いていくが、目標などを聞かれても、はっきりと口にできない。「日本に帰って、いろいろ整理してから考えたいです」と、課題を先延ばしにした。

 今回は心細い結果となったが、昨年は重量級を引っぱる結果を出してきたことは事実。自信を取り戻し、12月の全日本選手権、そして来年3月のアジア予選へと向かって強い磯川に戻ってくれる事を望みたい。