※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
【イスタンブール(トルコ)、文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫】世界選手権初出場の19歳、女子51kg級の志土地希果(至学館大)は3位決定戦まで進んだものの、銅メダルを手にすることはできなかった。
1、2回戦は無失点で快勝。3回戦は今年のアジア選手権3位のハン・クンオク(北朝鮮)に苦戦しながらも競り勝った。しかし準決勝で、この大会で優勝することになる昨年3位のザミラ・ラクマノバ(ロシア)に黒星。3位決定戦ではパンアメリカン選手権優勝のジェシカ・マクドナルド(カナダ)に0-2(0-3,0-5)で敗れ、第1ピリオドは完全に抑え込まれてかろうじて時間に救われるなど、世界トップとの差を見せつけられた。
世界トップとの実力差を見せられた志土地
「いける、と思っても切られてしまう。いつもなら取ることのできるタイミングであっても、取れない。逆に回り込まれたりしてポイントを取られてしまう。パワー不足を痛感しました」と振り返った。
7月の世界ジュニア選手権(ルーマニア)では初出場初優勝の殊勲を達成した。しかし、シニアの世界選手権はそれができるほど甘い世界ではなかった。勝った3回戦までの3試合も、「ひとつひとつの試合が大変で、簡単に勝たせてもらえなかった」と、同じ勝利でも大変さが違った。
その中でも、腕をがっちり取られた時などに、振って相手を崩すことができて、練習の成果は出せた。展開されている技はジュニアとシニアとではそう大きな違いはないことも感じた。
また試合会場も大きく、歓声もすごかったが、試合が始まれば自分の試合に集中でき、我を忘れるいこともなく闘えたという。それだけに、パワーがつけば世界一との差を埋められる感触はあったようだ。
試合後は齋藤将士コーチ(警視庁)や吉田栄勝コーチ(ナショナルアシスタントコーチ)から「もっと粘るべきところを粘らなければならない」と厳しく指導され、今後の巻き返しを誓った。