2011.09.08

【ルール確認】攻撃した選手が「場外逃避」の警告を取られる場合

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 9月1日に東京・駒沢体育館で行われた全日本学生選手権で、クリンチから攻撃し、相手を場外に出した選手が、逆に「場外逃避」の警告(コーション)を取られ、相手に1ポイントが与えられてこのピリオドを落とすというシーンがありました。

 当該選手や周囲から疑問・不満の声が上がりましたが、これはルール通りの判定であり、ミスジャッジではありません。

 問題のシーンは、フリースタイル96kg級決勝、大坂昂選手(早大)-馬場貴大選手(専大)の第1ピリオドで起こりました。クリンチの攻撃権を取った馬場選手は、ホイッスルと同時に相手を抱え上げ、場外へ向かって突進。場外へ落としました。

【VTR】

 一見すると、相手を場外に出した馬場選手に1点が与えられるように見えますが、ルール第52条「場外逃避」の条文に、下記の一文があります。

「自らの意思で相手を場外に出す技から成る行為は当該レスラーにコーション(○)を与え、同時に相手に1ポイントを与える」

 すなわち、馬場選手がゾーンの中で闘うことを“放棄”し、闘いの場を場外へ求めたことが、「場外逃避」と解釈され、警告が与えられたわけです。闘いの場を場外に求めることが「場外逃避」であり、これは攻撃、防御を問わずに適用されるルールとなります。

 「相手を場外に出せば1点」と言われますが、レスリングの基本はゾーンの中で試合をすること。闘いの場を場外に求めてはならないことに注意しなければなりません。

(監修=日本協会・斎藤修審判委員長)