2011.08.31

【全日本学生選手権・特集】日体大・松本慎吾監督

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 2年ぶりの出場となった日体大が5階級を制覇。4月のJOC杯では両スタイルで4階級制覇だったが、1スタイルでそれを上回り、完全復活を印象づけた。

 ちなみに、日体大がグレコローマンで5階級を制したのは、8階級だった時代の1999年以来のこと。そのハイレベルのチームの中から笹本睦(現ALSOK)、松本監督という世界で通じる選手が生まれたのだから、今年の優勝選手の中から“第2の笹本、松本”が生まれる可能性は十分にあると言えるだろう。

 松本監督は「まだ半分です。フリースタイルで結果を残してからです」と、5階級制覇にも喜びの表情はなし。「グレコローマンに関して」との問いには、「上2つ(96、120kg級)取れませんでしたから…」と、この2階級で3位以内が1選手という状況を悔やんだ。「全階級制覇を目標にやっていかないと」と言う。

 1年間の出場停止によって、チーム力が落ちたのは間違いない。処分が解けたあとの昨年の全日本大学グレコローマン選手権と全日本大学選手権では、優勝選手を出すことができなかった。それだけに、この急速復活の影に松本監督ほかコーチングスタッフの努力があると思われるが、「いえ、一人ひとりが自覚を持ち、目標を高く持ってやってくれたおかげです」と、選手の努力をねぎらった。

 それでも、学生王者の大量育成によってひとつの階段を登ったという気持ちがあるのだろう。「学生間だけではなく、全日本で通じる選手を一人でも多くつくり、オリンピックへ行ける選手を育てたい」と話した。